姪の就職2

 真三がPC─8801を買ってまだ支払いも済んでいないのに、メーカーはPC─6001の生産を打ち切り、新たにPC─6001mkⅡという新機種を売り出した。量販店では旧機種が5万円台まで値下がりしている。モデルチェンジが早すぎる。この傾向はいまもパソコンの世界で続いている。非常に巧みに思えるのはサポート打ち切りを打ち出して買い替えを促していることだ。

 PC─8801も2、3年で旧型になり、故障しても部品がないと言われるのではと真三は不安を覚える。

 真三は中堅企業のプログラマーKさん(30歳)に聞いたことがある。

「僕らもだいたい25歳ぐらいまでに蓄積した知識を駆使しているだけで、もう新たに能力を増やすことはできませんよ」

 これを聞いて語学でも25歳まで記憶する単語量が一番多いと思っているので、プログラミングでも同じなんだと合点した。プログラムを見ただけで、どのような内容かわかるようになれば、ちょっとしたプロではないかと思う。コンピュータの専門家に話を聞いたことがある。

「ソフト屋はタクシーのドライバーみたいなものですよ。悪質なドライバーがいるように、悪質なソフト屋がいる。悪質なドライバーはお客が道順を知らないことをよいことにして、わざと遠回りをする。悪質なソフト屋も100ステップですむものを5、000ステップ踏んで高い料金を取るのです」

 これはビジネス用のソフト作成についてであるが、ホビー用のゲームソフトにもひどいものがあった。一般の商品と違ってソフトの中を見られないので、買ってやってみるまでわからない。真三が買った「卓球」のゲームソフトもその一つである。このソフトは一度に操作しなければならないキーの数が多過ぎて、実際上、操作が不可能である。一、二度試みただけで埃をかぶっている。ゲーム好きの息子も音をあげている。

 操作だけでなく、ゲームもあまりにも粗末な出来なので一層、腹が立つ。レコードやCDでも試聴させているように、マイコンのソフトもその場で見せ、場合によっては試しにやらすべきだろう。昭和五八年三月の新聞に日本経営者協会のアンケート調査が載った。それによると、現在市販されているパソコン用の出来合いのソフト(パッケージソフト)はまだまだ品質面で問題があると指摘していた。真三だけでなく市販のソフトを使っている人の多くは不満をもっていることがわかる。

「真三さんの話は鋭いですね。ところでちょっと、脱線しますが、先日、理化学研究所の西田豊明氏のAI(人工知能)の話を聞きましたが、身近なところでAIが随分、進んでいることを教えてもらいました」

「テレビでもロボットが注文を聞き、商品を運んでくるのを見ますね」

「ママのところもロボットが活躍するのと違うか」

「そんなロボットができると、楽になりますわね」

「そういう時代も近いでしょうね」

「ところで前島さん、西田先生はどういうものを紹介されたのですか」

「グーグルの商品ですが、片手で持てるほどの大きさのボックスに向かって、“サルの声は?”と聞くと、ボックスからサルの鳴き声が聞こえてきます。いろんな会話もできるのです。安い機種で9千円だそうで、結構、会話を楽しめると思いました」

「ほかにもありましたか」

「真三さんも使っておられるSKYPE で相手が外人であっても同時通訳で会話できるとか、スマホで手書き文字を活字で作成してくれるなど、いろいろなソフトが無料で入手できるようです」

「おもしろそうですね。スマホは大人の指では扱いにくいですね」

「スマホで音声による文章化もすごいと思いましたが、手書きで文章が作成できるのは、老人にはありがたいですね。スマホのキーボードは小さくて扱いが難しいから助かりますね」

「翻訳機もある時点でレベルアップしているので、西田先生も論文をこれによって英訳しているそうですよ」

「これらのアプリが無料というのがすごいですね」

「昔からタダより怖いものはないというじゃないですか」

「そうですね。恐らくこれらを利用する人たちのデータは取られ、ビッグデータなどに利用されるのでしょうね」

 真三は再びマイコンの話に戻した。

 ―市販のソフトを使っている多くの人は不満が多いということを知った。ゲームソフトでもプログラム・コンテスト賞をとったものには優れたものが多いので、初めて使う人にはそういうソフトから選ぶのもいいのではと思った。

 真三がよく行く量販店で顔なじみになったAさんにおもしろいソフトを教えてもらうこともある。

「なにかおもしろいソフト入っていない?」

「ゲームにもリアルタイム(瞬時に操作する)もの、例えばミサイルで敵のミサイルを撃ち落とすといった種類のもの。ゲームセンターのほとんどがリアルタイム・ゲームです。

  次にアドベンチャー(冒険)とシミュレーションゲーム(模倣)と大きく分けて3種類あります。子どもさんはリアルタイムのゲームに熱中します。大人より反応が速いだけに上手ですが、すぐに飽きます。その点、アドベンチャーとシミュレーションゲームは考えながらやりますので、どちらかというと大人用ですね。ゴルフとか麻雀ゲームは大人に人気のあるゲームです」

「小学6年ですが、このバルチック艦隊というシミュレーションゲームは難しくないだろうか?」

「ここにグレード5と書いてあるでしょう。グレード分類しているのは難しいのですが、5ランクはその中でも相当レベルが高いものですよ」

「どういう風に難しいのですか」

「私もよくわからないのですが、艦隊の名称、性能などはすべて覚えておかないといけないんだと思いますよ」

 真三は息子に戦争ゲームを買う約束をしていたので、ちょっと無理かなと思いながらも買った。

 シミュレーションゲームについて説明しよう。真三がもっているゴルフゲーム(T&E SOFT社)の場合、ロードしようとすると1ホール目のコース図と右側に拡大図の画面が映る。その上の円形に風力、風向が示され、それを念頭に置きながら、まずフルセットのクラブからティーショットに1本選び、エンターキーを押し次に打球の方向を決める。そこでエンターキーを押すとショットの強さを示す棒グラフが伸びたり縮んだりするので、適当と思われる強さのところでスペースキーで打つ。するとボールがコース図と拡大図の中に軌跡を描きながら落下していくのが見られる。ティーショットでアイアンのクラブを使うとあまり飛ばない。

 結構楽しめるが、これも何度もやっていると、1ホール目はどのクラブでどの方向に打てばうまく飛ぶかがわかってくる。OUTとINがあって半ラウンドごとに得点表が出る。

 ソフトに関して著作権問題が生じている。基本的に著作者の保護を行うべきだと思う。それと並行してソフトの中身を買う前に吟味できるように義務づけるか、ソフト協会で品質保証のラベルを貼るように指導してもらいたいと思う。今のような市場で著作権保護だけをやるなら、消費者不在ということを感じる。貸しソフトショップが次から次へとできてくるのは、ソフトの価格が高すぎるということであろう。やはりもう少し安くする努力が必要である。

 レコード1枚3、000円とゲームソフト3、000円と単純に比較はできないにしても、一般の感覚からするとゲームソフトが高い。品質、内容に見合った適正価格をつけるよう業界全体で取り組むことをしていかないと、最後は消費者が離れていく。

 真三はマイコンに挑戦して約半年。十分活用しているとは言えないまでも、少しばかり仕事や生活に役立ち楽しんでいる。

「いやー、長々と昔話を話し過ぎました」

「いえいえ、真三さんの話を聞きまして、年配の方がパソコンを自由に操るにはご苦労されてきたことがよくわかりましたよ」

 前島はうれしそうにママの方を向いた。

「ママ、最後の一杯で乾杯してお開きにしようか」

「そうだわね。時間もだいぶ遅くなったのだから…」

 ママはいつまでもいいという素振りを見せながら、焼酎のお湯割りをつくって運んできた。

「それにしても、あらゆることが早すぎますね」

「年寄りはついていけないですね」

「元気な年寄りは努力していますよ」

「確かに勉強は学校時代で終わりということはないね」

「加齢で一番の心配は病気ですが、それ以上に心配なのはアルツハイマー(認知症)です」

「認知症といえば、ドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします』という作品は、この先の自分の姿を見ているようでしたね」

「確か、映像作家の娘さんが両親の老いてぼけていく姿をリアルに描いているという評判の作品のようですね」

「なかなか、あそこまで自分の家の中を赤裸々に見せられないものですよ」

「脚色もあるのでしょう」

「そら、あるでしょうが、観客はそういうものを感じないですね」

「認知症を治す治療薬がいまのところなく、ただ症状を遅らすだけしかないのですね」

「それにはあらゆることに好奇心をもって運動、食事を規則正しくするしかないように思うね」

「真三さんは健康体操に出かけているのでしょう」

「うん。月2回だけど、以前は月5、6回やっていたが、だんだんきつくなって、今は月2回、1回1時間半、10人前後の高齢者でやるんだけど、無料なんだ」

「男の人も参加していますの」

「ほとんど女性だね」

「やっぱり」

「どこへ行っても女性が強いよ」

「100歳時代だといっても、健康寿命が延びないと意味がないよな」

「だからいま延命治療の意思表示が問われている」

「難しい問題だね」

 

■岡田 清治プロフィール

1942年生まれ ジャーナリスト

(編集プロダクション・NET108代表)

著書に『高野山開創千二百年 いっぱんさん行状記』『心の遺言』『あなたは社員の全能力を引き出せますか!』『リヨンで見た虹』など多数

※この物語に対する読者の方々のコメント、体験談を左記のFAXかメールでお寄せください。

今回は「就職」「日本のゆくえ」「結婚」「夫婦」「インド」「愛知県」についてです。物語が進行する中で織り込むことを試み、一緒に考えます。

FAX‥0569―34―7971

メール‥takamitsu@akai-shinbunten.net

 

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  真三がPC─8801を買ってまだ支払いも済んでいないのに、メーカーはPC─6001の生産を打ち切り、新たにPC─6001mkⅡという新機種を売り出した。量販店では旧機種が5万円台まで値下がりしている。モデルチェンジが早すぎる。この傾向はいまもパソコンの世界で続いている。非常に巧みに思えるのはサポート打ち切りを打ち出して買い替えを促していることだ。

 PC─8801も2、3年で旧型になり、故障しても部品がないと言われるのではと真三は不安を覚える。

 真三は中堅企業のプログラマーKさん(30歳)に聞いたことがある。

「僕らもだいたい25歳ぐらいまでに蓄積した知識を駆使しているだけで、もう新たに能力を増やすことはできませんよ」

 これを聞いて語学でも25歳まで記憶する単語量が一番多いと思っているので、プログラミングでも同じなんだと合点した。プログラムを見ただけで、どのような内容かわかるようになれば、ちょっとしたプロではないかと思う。コンピュータの専門家に話を聞いたことがある。

「ソフト屋はタクシーのドライバーみたいなものですよ。悪質なドライバーがいるように、悪質なソフト屋がいる。悪質なドライバーはお客が道順を知らないことをよいことにして、わざと遠回りをする。悪質なソフト屋も100ステップですむものを5、000ステップ踏んで高い料金を取るのです」

 これはビジネス用のソフト作成についてであるが、ホビー用のゲームソフトにもひどいものがあった。一般の商品と違ってソフトの中を見られないので、買ってやってみるまでわからない。真三が買った「卓球」のゲームソフトもその一つである。このソフトは一度に操作しなければならないキーの数が多過ぎて、実際上、操作が不可能である。一、二度試みただけで埃をかぶっている。ゲーム好きの息子も音をあげている。

 操作だけでなく、ゲームもあまりにも粗末な出来なので一層、腹が立つ。レコードやCDでも試聴させているように、マイコンのソフトもその場で見せ、場合によっては試しにやらすべきだろう。昭和五八年三月の新聞に日本経営者協会のアンケート調査が載った。それによると、現在市販されているパソコン用の出来合いのソフト(パッケージソフト)はまだまだ品質面で問題があると指摘していた。真三だけでなく市販のソフトを使っている人の多くは不満をもっていることがわかる。

「真三さんの話は鋭いですね。ところでちょっと、脱線しますが、先日、理化学研究所の西田豊明氏のAI(人工知能)の話を聞きましたが、身近なところでAIが随分、進んでいることを教えてもらいました」

「テレビでもロボットが注文を聞き、商品を運んでくるのを見ますね」

「ママのところもロボットが活躍するのと違うか」

「そんなロボットができると、楽になりますわね」

「そういう時代も近いでしょうね」

「ところで前島さん、西田先生はどういうものを紹介されたのですか」

「グーグルの商品ですが、片手で持てるほどの大きさのボックスに向かって、“サルの声は?”と聞くと、ボックスからサルの鳴き声が聞こえてきます。いろんな会話もできるのです。安い機種で9千円だそうで、結構、会話を楽しめると思いました」

「ほかにもありましたか」

「真三さんも使っておられるSKYPE で相手が外人であっても同時通訳で会話できるとか、スマホで手書き文字を活字で作成してくれるなど、いろいろなソフトが無料で入手できるようです」

「おもしろそうですね。スマホは大人の指では扱いにくいですね」

「スマホで音声による文章化もすごいと思いましたが、手書きで文章が作成できるのは、老人にはありがたいですね。スマホのキーボードは小さくて扱いが難しいから助かりますね」

「翻訳機もある時点でレベルアップしているので、西田先生も論文をこれによって英訳しているそうですよ」

「これらのアプリが無料というのがすごいですね」

「昔からタダより怖いものはないというじゃないですか」

「そうですね。恐らくこれらを利用する人たちのデータは取られ、ビッグデータなどに利用されるのでしょうね」

 真三は再びマイコンの話に戻した。

 ―市販のソフトを使っている多くの人は不満が多いということを知った。ゲームソフトでもプログラム・コンテスト賞をとったものには優れたものが多いので、初めて使う人にはそういうソフトから選ぶのもいいのではと思った。

 真三がよく行く量販店で顔なじみになったAさんにおもしろいソフトを教えてもらうこともある。

「なにかおもしろいソフト入っていない?」

「ゲームにもリアルタイム(瞬時に操作する)もの、例えばミサイルで敵のミサイルを撃ち落とすといった種類のもの。ゲームセンターのほとんどがリアルタイム・ゲームです。

  次にアドベンチャー(冒険)とシミュレーションゲーム(模倣)と大きく分けて3種類あります。子どもさんはリアルタイムのゲームに熱中します。大人より反応が速いだけに上手ですが、すぐに飽きます。その点、アドベンチャーとシミュレーションゲームは考えながらやりますので、どちらかというと大人用ですね。ゴルフとか麻雀ゲームは大人に人気のあるゲームです」

「小学6年ですが、このバルチック艦隊というシミュレーションゲームは難しくないだろうか?」

「ここにグレード5と書いてあるでしょう。グレード分類しているのは難しいのですが、5ランクはその中でも相当レベルが高いものですよ」

「どういう風に難しいのですか」

「私もよくわからないのですが、艦隊の名称、性能などはすべて覚えておかないといけないんだと思いますよ」

 真三は息子に戦争ゲームを買う約束をしていたので、ちょっと無理かなと思いながらも買った。

 シミュレーションゲームについて説明しよう。真三がもっているゴルフゲーム(T&E SOFT社)の場合、ロードしようとすると1ホール目のコース図と右側に拡大図の画面が映る。その上の円形に風力、風向が示され、それを念頭に置きながら、まずフルセットのクラブからティーショットに1本選び、エンターキーを押し次に打球の方向を決める。そこでエンターキーを押すとショットの強さを示す棒グラフが伸びたり縮んだりするので、適当と思われる強さのところでスペースキーで打つ。するとボールがコース図と拡大図の中に軌跡を描きながら落下していくのが見られる。ティーショットでアイアンのクラブを使うとあまり飛ばない。

 結構楽しめるが、これも何度もやっていると、1ホール目はどのクラブでどの方向に打てばうまく飛ぶかがわかってくる。OUTとINがあって半ラウンドごとに得点表が出る。

 ソフトに関して著作権問題が生じている。基本的に著作者の保護を行うべきだと思う。それと並行してソフトの中身を買う前に吟味できるように義務づけるか、ソフト協会で品質保証のラベルを貼るように指導してもらいたいと思う。今のような市場で著作権保護だけをやるなら、消費者不在ということを感じる。貸しソフトショップが次から次へとできてくるのは、ソフトの価格が高すぎるということであろう。やはりもう少し安くする努力が必要である。

 レコード1枚3、000円とゲームソフト3、000円と単純に比較はできないにしても、一般の感覚からするとゲームソフトが高い。品質、内容に見合った適正価格をつけるよう業界全体で取り組むことをしていかないと、最後は消費者が離れていく。

 真三はマイコンに挑戦して約半年。十分活用しているとは言えないまでも、少しばかり仕事や生活に役立ち楽しんでいる。

「いやー、長々と昔話を話し過ぎました」

「いえいえ、真三さんの話を聞きまして、年配の方がパソコンを自由に操るにはご苦労されてきたことがよくわかりましたよ」

 前島はうれしそうにママの方を向いた。

「ママ、最後の一杯で乾杯してお開きにしようか」

「そうだわね。時間もだいぶ遅くなったのだから…」

 ママはいつまでもいいという素振りを見せながら、焼酎のお湯割りをつくって運んできた。

「それにしても、あらゆることが早すぎますね」

「年寄りはついていけないですね」

「元気な年寄りは努力していますよ」

「確かに勉強は学校時代で終わりということはないね」

「加齢で一番の心配は病気ですが、それ以上に心配なのはアルツハイマー(認知症)です」

「認知症といえば、ドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします』という作品は、この先の自分の姿を見ているようでしたね」

「確か、映像作家の娘さんが両親の老いてぼけていく姿をリアルに描いているという評判の作品のようですね」

「なかなか、あそこまで自分の家の中を赤裸々に見せられないものですよ」

「脚色もあるのでしょう」

「そら、あるでしょうが、観客はそういうものを感じないですね」

「認知症を治す治療薬がいまのところなく、ただ症状を遅らすだけしかないのですね」

「それにはあらゆることに好奇心をもって運動、食事を規則正しくするしかないように思うね」

「真三さんは健康体操に出かけているのでしょう」

「うん。月2回だけど、以前は月5、6回やっていたが、だんだんきつくなって、今は月2回、1回1時間半、10人前後の高齢者でやるんだけど、無料なんだ」

「男の人も参加していますの」

「ほとんど女性だね」

「やっぱり」

「どこへ行っても女性が強いよ」

「100歳時代だといっても、健康寿命が延びないと意味がないよな」

「だからいま延命治療の意思表示が問われている」

「難しい問題だね」