自宅の東側の１×３ｍくらいの場所は、陽の当たりだすのが遅く昼過ぎには陰ってしまうからか、今までひまわりを育てようと何年も挑戦したが育たなかった。今年はウクライナが気がかりで、ひまわりを是非咲かせたいと思った。その時思いつきですぐ横に冬瓜も蒔いた。他にオクラと綿を蒔いて菜園化。

　夏が来て、嬉しいことに初めてひまわりが育ち２ｍを超す高さになった。冬瓜も蔓が伸びだした。が、オクラが成長しているので地面を這わすわけにもいかず、とりあえず南側に伸ばすことにした。家の南側も狭いスペースではあるが、プランターでミニ胡瓜とインゲン、それらのために網が張ってある。冬瓜の蔓は順調に伸びて網をどんどん占拠し始めた。１０ｍを優に超す長さになって、結果的に冬瓜の空中栽培ということになった。台風前には４ｋｇほどの冬瓜を４個収穫できた。

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　台風が去った頃、ひまわりを切り倒した。冬瓜は根が思った以上に巨大で、持ち上げたらさらに太くて長そうな根が。１ｍを越したあたりから、いったいこの先何メートルあるんだろうか。がぜん興味が湧いてきた。と同時に、金子みすゞの「‥つよいその根はめにみえぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。」（『星とたんぽぽ』）、が浮かんだ。見てはいけないものを見ようとするようで罪悪感を覚えたが、丁寧にていねいに掘り進めた。やっとの先端部は針よりも細かった。全長はなんと４ｍ４ｃｍ５ｍｍだった。ググったら、タンポポの根は長いものは１ｍ超、冬瓜については見つけられなかった。

　もし金子みすゞに伝えていたら詩中の「たんぽぽ」が「冬瓜」に変わっていただろうか、いや、野に咲く花の根と畑で栽培した根とは違うだろう、などと自問自答しながら、妻のつくってくれた冬瓜汁をしこたま食べた。美味しかった。

　冬瓜はまだ残っている。

　寒い嫌な冬の季節の到来が楽しみに変わった。

伊藤明德

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