モントレゾールMontresor(フランス)

 

 2015年6月日本では梅雨入りしてじめじめした天候が続くころ、ヨーロッパは最もいい季節を迎えます。暑くなく寒くなく、雨はほとんど降らず爽やかでバラが咲きみだれ、結婚式が多いのもうなずけます。

 このころに取材旅行に行くのは、日の出から日の入りまでが最も長いからです。ちなみに6月1日は日の出が午前4:33、日の入りは午後9:24で実に日長は16時間45分にも及びます。朝早くから夕暮れまで絵を描けるこの時期はスケッチにはうってつけと言えます。

 

 モントレゾールはパリから南へ車で2時間ほど、フランスのロワール流域いくつもの古城のある地域に隣り合い、素晴らしい城が影を落とすアンドロワ川の右岸にある村。(写真①)

 村の細い道には、15?16世紀の骨組みが見えるハーフティンバー(半木骨造り)の家の隣や岩に掘られた半洞穴式住居が並び、絵に描いたような風景を見せている。平らな屋根瓦、かつての生活をしのばせる共同洗濯場、水飲み場、市場など、どれをとっても近代化に取り残されたような昔のままの雰囲気が印象的です。

 

 ロワール地方は立派な城が点在して、有名どころが多い場所なんですが、あまりに豪華で大きな城は絵になりにくく生活感がありません。このモントレゾールを見つけた時には、私たちの求めるすべてがそろっているとガッツポーズをしました。村を流れる川、生活感のある木造の民家、高低差のある道、教会を中心とする曲がりくねった路地、そして一番高いところに城。(写真②③)

 

 午後7時にパリシャルルドゴール空港に到着しレンタカーを借りたはいいのですが、途中縁石に乗り上げてパンク!!だんだん日が暮れていくのに慣れない車で補助タイヤをつけるのは心細いし、これから先の手続きの不安でどうしようという感じでした。

 

 約束より2時間も遅れて宿に着くと、オーナーが心配して待っていてくれて、タイヤの状態を見て、すぐにいろんな手続きをしてくれました。人の親切が身に染みるとはこういう時のことです。

 

 このモントレゾール城は美術館になっていて入場料を払ってみるのですが、庭でスケッチしていると城主の方が、「君たちは、滞在している間は、好きなだけこの城に入って絵を描きなさい。」と言ってくれました。そして、「僕のタペストリーのコレクションをぜひ見てくれ。」と言って私邸に招き入れてくれました。こんなことは初めてだったんでびっくりしましたが、ついてゆくと、「ここからは土足厳禁!」と素晴らしい中世からのタペストリーの上を歩かされます。

 奥に行くと壁という壁、床やソファー、ベッド、掛けられるところにはすべてタペストリーの山でした。ふと足元を見るともう置くところのないものが3重くらいに重ねてあります。「そうなんだ好きすぎて集めちゃうんだ。もう重ねるしかなくなっちゃった!!」と茶目っ気たっぷりです。

 楽しい城主の話は、ここに滞在した日本人画家の話、この村のお祭りで中世の衣装に身を包んだ写真、先祖の歴史などなど…とどまるところを知りません。私たちは頃合いを見て出かけるので失礼しますと言って帰りました。

 

 この城主の母上もまた良い方で、私がスケッチで疲れてお城のベンチで寝ていると、家から出てきて、「彼女は動かないけれど、どこか悪いんじゃない?」と2度もたずねたそうです。実は私2時間くらい寝ちゃってたらしい。

 私たちはこの城に3日通い詰めました。(写真④⑤)

 

 この村は日本人の観光客には全く会いませんでした。観光客もいるものの、ほとんどドイツ人やイギリス人が多かったように思えました。

 大きなレストランもなく滞在というよりはちょっと寄るといった村なのでしょうね。

 でもゆっくり滞在してまわると本当に美しい村でした。

 

丹羽 直子 油彩 S 100号 画題 「プレリュード」

所属 第一美術 ポン・デ・ザール(写真⑥)

 

Copyright©2003-2017 Akai Newspaper dealer

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 このころに取材旅行に行くのは、日の出から日の入りまでが最も長いからです。ちなみに6月1日は日の出が午前4:33、日の入りは午後9:24で実に日長は16時間45分にも及びます。朝早くから夕暮れまで絵を描けるこの時期はスケッチにはうってつけと言えます。

 

 モントレゾールはパリから南へ車で2時間ほど、フランスのロワール流域いくつもの古城のある地域に隣り合い、素晴らしい城が影を落とすアンドロワ川の右岸にある村。(写真①)

 村の細い道には、15?16世紀の骨組みが見えるハーフティンバー(半木骨造り)の家の隣や岩に掘られた半洞穴式住居が並び、絵に描いたような風景を見せている。平らな屋根瓦、かつての生活をしのばせる共同洗濯場、水飲み場、市場など、どれをとっても近代化に取り残されたような昔のままの雰囲気が印象的です。

 

 ロワール地方は立派な城が点在して、有名どころが多い場所なんですが、あまりに豪華で大きな城は絵になりにくく生活感がありません。このモントレゾールを見つけた時には、私たちの求めるすべてがそろっているとガッツポーズをしました。村を流れる川、生活感のある木造の民家、高低差のある道、教会を中心とする曲がりくねった路地、そして一番高いところに城。(写真②③)

 

 午後7時にパリシャルルドゴール空港に到着しレンタカーを借りたはいいのですが、途中縁石に乗り上げてパンク!!だんだん日が暮れていくのに慣れない車で補助タイヤをつけるのは心細いし、これから先の手続きの不安でどうしようという感じでした。

 

 約束より2時間も遅れて宿に着くと、オーナーが心配して待っていてくれて、タイヤの状態を見て、すぐにいろんな手続きをしてくれました。人の親切が身に染みるとはこういう時のことです。

 

 このモントレゾール城は美術館になっていて入場料を払ってみるのですが、庭でスケッチしていると城主の方が、「君たちは、滞在している間は、好きなだけこの城に入って絵を描きなさい。」と言ってくれました。そして、「僕のタペストリーのコレクションをぜひ見てくれ。」と言って私邸に招き入れてくれました。こんなことは初めてだったんでびっくりしましたが、ついてゆくと、「ここからは土足厳禁!」と素晴らしい中世からのタペストリーの上を歩かされます。

 奥に行くと壁という壁、床やソファー、ベッド、掛けられるところにはすべてタペストリーの山でした。ふと足元を見るともう置くところのないものが3重くらいに重ねてあります。「そうなんだ好きすぎて集めちゃうんだ。もう重ねるしかなくなっちゃった!!」と茶目っ気たっぷりです。

 楽しい城主の話は、ここに滞在した日本人画家の話、この村のお祭りで中世の衣装に身を包んだ写真、先祖の歴史などなど…とどまるところを知りません。私たちは頃合いを見て出かけるので失礼しますと言って帰りました。

 

 この城主の母上もまた良い方で、私がスケッチで疲れてお城のベンチで寝ていると、家から出てきて、「彼女は動かないけれど、どこか悪いんじゃない?」と2度もたずねたそうです。実は私2時間くらい寝ちゃってたらしい。

 私たちはこの城に3日通い詰めました。(写真④⑤)

 

 この村は日本人の観光客には全く会いませんでした。観光客もいるものの、ほとんどドイツ人やイギリス人が多かったように思えました。

 大きなレストランもなく滞在というよりはちょっと寄るといった村なのでしょうね。

 でもゆっくり滞在してまわると本当に美しい村でした。

 

丹羽 直子 油彩 S 100号 画題 「プレリュード」

所属 第一美術 ポン・デ・ザール(写真⑥)