盛田昭夫の思想の中核は、1986年出版の『MADE IN JAPAN』(朝日新聞社)に書かれています。しかしこれが最高というわけではありません。1992年執筆の論文「日本型経営が危ない」(文藝春秋、2月号)が最高です。

 『MADE IN JAPAN』には何が書かれているのでしょうか。

 「集中豪雨的輸出」との批判に対する反批判です。しかし、この海外からの集中豪雨的輸出という批判は、輸出規制を求めるという保護主義的行動をともなってもいました。それゆえ、単に反批判を書いて終りとするわけにはまいりません。根本から反批判を書き、納得してもらい、保護主義的行動を克服してもらうのでないといけませんので。

 日本の集中豪雨的輸出は他国の集中吸引的輸入があって生まれたのです。これがなければ集中豪雨的輸出などありえません。なぜこんなことが起きたのか。日本製品が優れていたからです。なぜ優れたのか。その理由の解明、つまりこれを生み出した日本企業の仕組と思想、端的に言えば日本企業がもつ強さの秘密、企業哲学の解明が書かれています。この上に立って、世界が目指すべき資本主義のあり方について提案もします。

 『MADE IN JAPAN』には以上のことが書かれているのに、なぜこれを「最高」と言わないのか。理由があるからです。その理由については後で書きます。今はこの本には盛田昭夫の思想の中核が書かれているということで、満足してください。

 日本製品が優れている理由について。日本製品がなぜ優れたものになったのかの理由を述べる形で書かれています。技術を尊重する企業哲学を持っていたからだと。

 この盛田の「企業哲学」は井深大の「企業哲学」に由来します。

 盛田は、井深が掲げる「企業哲学」に共鳴して、東京通信工業(現ソニーの前身)に入社し、井深の副官として頑張ります。この中で、盛田はこの企業哲学を発展させ、自らのものにしていくのでした。

 「真面目ナル技術者ノ技能ヲ最高度ニ発揮セシムベキ自由闊達ニシテ愉快ナル理想工場ノ建設」

 これが井深の掲げた企業哲学です。盛田はこの井深の夢を実現すべく献身します。 「技術者ノ技能ヲ最高度ニ発揮セシムベキ自由闊達ニシテ愉快ナル理想工場」と聞くと、何か技術者の楽しみの話のように聞こえますが、そうではありません。科学は人間生活に役立ってはじめて人間的意味を持ちますが、その任を担う技術者たちが十分に力の発揮できる工場を目指すという意味なのです。

 盛田は、技術を、生活を豊かにするものと理解し、企業哲学の方向性を明確にしていきます。そしてこの課題を、技術者だけの課題とするのでなく、全労働者の課題として発展させていきます。戦後の民主憲法は、無闇な馘首(かくしゅ・首切り)を許さないという労働法を生み出しますが、これを追い風にして、労働者を単なる生産の駒と見るのをやめ、労働者を、生活を豊かにする製品の開発という企業の目標を共有する仲間・家族として育てていくようにしたのでした。企業における家族主義の成立です。

 この家族主義の中で、労使は共存共栄の思想で頑張るという関係を生みだします。年功序列や終身雇用制がこの関係を補強し、労働者はみな「検査係」という自覚をもって働くようになります。これこそが日本企業が持つに至った強さの秘密と盛田は言います。

 企業哲学とは言い得て妙です。哲学は共存を求める学問です。盛田の企業哲学は企業における共存の実現を目指しています。まさに盛田は哲学者として頑張ったのでした。

 

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 盛田昭夫の思想の中核は、1986年出版の『MADE IN JAPAN』(朝日新聞社)に書かれています。しかしこれが最高というわけではありません。1992年執筆の論文「日本型経営が危ない」(文藝春秋、2月号)が最高です。

 『MADE IN JAPAN』には何が書かれているのでしょうか。

 「集中豪雨的輸出」との批判に対する反批判です。しかし、この海外からの集中豪雨的輸出という批判は、輸出規制を求めるという保護主義的行動をともなってもいました。それゆえ、単に反批判を書いて終りとするわけにはまいりません。根本から反批判を書き、納得してもらい、保護主義的行動を克服してもらうのでないといけませんので。

 日本の集中豪雨的輸出は他国の集中吸引的輸入があって生まれたのです。これがなければ集中豪雨的輸出などありえません。なぜこんなことが起きたのか。日本製品が優れていたからです。なぜ優れたのか。その理由の解明、つまりこれを生み出した日本企業の仕組と思想、端的に言えば日本企業がもつ強さの秘密、企業哲学の解明が書かれています。この上に立って、世界が目指すべき資本主義のあり方について提案もします。

 『MADE IN JAPAN』には以上のことが書かれているのに、なぜこれを「最高」と言わないのか。理由があるからです。その理由については後で書きます。今はこの本には盛田昭夫の思想の中核が書かれているということで、満足してください。

 日本製品が優れている理由について。日本製品がなぜ優れたものになったのかの理由を述べる形で書かれています。技術を尊重する企業哲学を持っていたからだと。

 この盛田の「企業哲学」は井深大の「企業哲学」に由来します。

 盛田は、井深が掲げる「企業哲学」に共鳴して、東京通信工業(現ソニーの前身)に入社し、井深の副官として頑張ります。この中で、盛田はこの企業哲学を発展させ、自らのものにしていくのでした。

 「真面目ナル技術者ノ技能ヲ最高度ニ発揮セシムベキ自由闊達ニシテ愉快ナル理想工場ノ建設」

 これが井深の掲げた企業哲学です。盛田はこの井深の夢を実現すべく献身します。 「技術者ノ技能ヲ最高度ニ発揮セシムベキ自由闊達ニシテ愉快ナル理想工場」と聞くと、何か技術者の楽しみの話のように聞こえますが、そうではありません。科学は人間生活に役立ってはじめて人間的意味を持ちますが、その任を担う技術者たちが十分に力の発揮できる工場を目指すという意味なのです。

 盛田は、技術を、生活を豊かにするものと理解し、企業哲学の方向性を明確にしていきます。そしてこの課題を、技術者だけの課題とするのでなく、全労働者の課題として発展させていきます。戦後の民主憲法は、無闇な馘首(かくしゅ・首切り)を許さないという労働法を生み出しますが、これを追い風にして、労働者を単なる生産の駒と見るのをやめ、労働者を、生活を豊かにする製品の開発という企業の目標を共有する仲間・家族として育てていくようにしたのでした。企業における家族主義の成立です。

 この家族主義の中で、労使は共存共栄の思想で頑張るという関係を生みだします。年功序列や終身雇用制がこの関係を補強し、労働者はみな「検査係」という自覚をもって働くようになります。これこそが日本企業が持つに至った強さの秘密と盛田は言います。

 企業哲学とは言い得て妙です。哲学は共存を求める学問です。盛田の企業哲学は企業における共存の実現を目指しています。まさに盛田は哲学者として頑張ったのでした。