平成十二年四月号に「春を食べる」でいたどりやちがや(つばな)を紹介しました。今号では、野山に生えているいちご(苺)について紹介します。
昭和三〇年代までは、いまのように田植えが早くなかったのです。なぜかというと、菜種や小麦やれんげを植えてその収穫後に田植えをしていたためなのです。つまり二毛作を行っていたからです。だから、六月になってから田植えが行われていたのです。
この農繁期に子どもたちのために天の恵みとしていちごがあるのだと思います。
なわしろいちご
苗代(なわしろ)に種籾をまき、その籾が芽を出すころにとれだすことから名付けられたのです。私の地方では、「おたうえいちご」とよんでいました。
このいちごは田んぼのそばの川岸に生息しています。山間で棚田の多い私の地方では、川岸の土手に実をたわわにつけていました。田植えの手伝いがあきると、「おたうえいちご」をとっては、食べたものです。
実は五・六つぶの果肉からなってプッチンと汁が出ると口の中にすっぱさが広がりその後甘く感じました。
くさいちご
林と畑の境界線の湿り気のあるような所に生息しています。私の地方ではこのいちごを「やまいちご」とよんでいました。このいちごは甘かったです。
実はドーム型になっていていくつもの果肉がくっついているので、ちがやの穂を結んでいちごを茎にさしたり、円錐にしたふきの葉に入れて帰り、家族に旬の味を食べさせたものです。
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