「ことばは『音』であると同時に『意識』なんです。この2つが合わさると、ことばはエネルギーに変化します。これがいわゆる『言霊』。ことばには、よいエネルギーを持つことばと、悪いエネルギーを持つことばがあります。よいエネルギーを持つことばを使うと、よいエネルギーがまわりに伝わります。意識がよい方向に変化するんです」。
第二次世界大戦後は、西洋からもたらされたものによって、日本ならではの精神文化も後退してしまった。古き良き日本人のもっていたものを思い出してほしいという気持ちが強い。日本人がどんどん壊れていくのを見るに見かねて、矢作さんは、なんとかしたいと思うのだ。
形から入って心に至るという。矢作さんも、形からだんだん座りがよくなって魂が入ってくると考える。ありがとう、ありがとうと何度も言っているうちに、感謝している自分に気づく。言葉は習慣化して使うことで、身に付いていく。意識して意識して意識しているうちに無意識に使えるようになれる。
中今を楽しめたら
死ぬのが怖くなくなる
子どものころ、いたずら小僧で、学校の先生を困らせていたらしい。とにかく言うことをきかないので、通信簿には「この子は批判的である」と書かれていた。「批判的ってどういうことか」と母に聞いたら、「素直じゃないってことだ」と言われた。人と同じことが嫌いで、右と言われたら右を向く子ではなかったということだ。自分の感性のままに動いていたのだ。それは、そのまま今に受け継がれているように思う。
僕は小さい頃「なんで自分はここにいるのか」と考え始めたら切りがなくなり、途中で怖くなって考えるのをやめたことが何度もある。矢作さんも小さい頃から見えないものの存在を感じていたのか聞いてみた。「自分の場合は頭をつかって考えるというよりは、感じるというか、直観的でしたね。『なんで自分を産んだんだ』と親に言う人もいますが、この親の元に生まれてきたのは自分の意思だと思っていました。宇宙から見れば人も地球も『one of them』で、個にこだわる必要はないのではと思います」。
世界中で争い事が絶えず、混とんとしている時代。矢作さんは、そんな今こそ、日本人の出番だと考える。これからは日本的な調和の方向にいくのではないかと言う。そうならないと、本当の世界平和はこないと思う。「でなければ、地球さんに失礼ですよ」と。
地球さん。いいなぁ、そういう言い方。人間は霊長類のトップにいると錯覚している。「宇宙の高い次元の立場から人類を見れば、地球だけでなくすべてに節度というか、いたわりをもってほしい」と矢作さんは穏やかに言う。ただあまり悲観はしていない。「人の心に灯がともるかどうかだけの話」だと。
著書に、「他者を気遣い、神様に感謝しながら、毎日を楽しく生きることが大事」と書いてあった。そういう生き方をするには、自利利他のバランスが大事。この世界はすべてバランスなのだ。自分の中で自利と利他のバランスがとれていると思うか聞いてみた。
笑いながらこう答えが返ってきた。「あまり意識したことはないのですが、いまのところ元気に暮らしているので、理にかなった生き方ができているような気がします。あまり鏡は見ませんが、自分自身としては満ち足りた顔をしていると思います」。
矢作さんがよく言う「中今」。過去に執着せず、未来を憂えず、今を楽しめたら、人生は変わるはず。だから矢作さんは、ふんわりやんわりしているのかもしれない。
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