台本は、天野さんが綿密に書く。1人で集中して書く。ウドちゃんのところは完全に当て書きだ。だが、ウドちゃんは、台本通りにはやってくれない。それが味になる。ウドちゃんがちょっと忘れたり、噛んだり、独特の間があるほうが面白い。未だにウドちゃんの底が見えない。底なしだから面白い。
ウドちゃんも、天野さんのことをいろいろ形容している。「織姫」「女神」「天使」「観音様」…ウドちゃんらしい形容だ。ウドちゃんは、死ぬまで天野さんとコンビを組みたいと言っている。ウド鈴木を輝かすのは天野ひろゆきしかいないわけだ。天野ひろゆきを輝かすのも、ウド鈴木しかいない。
矢島さんの存在を忘れない
天野さんの人生で忘れられない人が、元マネージャーの矢島秀夫さんだ。矢島さんと出会わなければ、今の自分は100%ないと思う。
「現場で愛されていた人ですね。自分の主張を押しつけず、僕たちに何がやりたいんだって、いつも聞いてくれて、タレント側に寄って交渉してくれました。デビュー当時、ウドちゃんのキャラクターが際立っているので、ウドちゃんにしか来なかった仕事でも、矢島さんが頭を下げて、僕も入れてもらえないかと頼んでくれたんです。年が結構いってたから、現場で一目置いてもらえる存在だったと思います。事務所で漫画本ばかり読んでる人でしたけど、僕らをなんとか売ろうということになって矢島さん自身も変わったんです。同じ目線で見てくれて、ウドちゃんとしょっちゅう子どもみたいな喧嘩をしてました(笑)」。
矢島さんが病魔に打ち勝てず亡くなったことは、天野さんにとって痛恨の極みだ。未だに携帯電話に登録した矢島さんの番号を消せずにいる。
キャイ〜ンの未来予想図
天野さんは、目標を立てることが好きだ。
漠然と大きい目標ではなく、頑張れば行けそうなところを目指す。キャイ〜ンのコンビを組んだ頃、2年後に『笑っていいとも!』のレギュラーとか、キャイ〜ンの冠番組を持つとかという目標を立てたら、本当に予想通りになっていった時期があった。「だから晩年の予想で、ウドちゃんが『天野君と喫茶店をやる』って言ったらどうしようかと思って、ハラハラしてるんですけどね(笑)」。
新装開店した『喫茶キャイ〜ン』で、講釈を述べながら、珈琲を淹れている姿、客席を回りながら愛嬌を振りまいている姿が容易に想像出来る。どちらがどの姿かは言うまでもない。
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