そして、三浦さんには、もう一つの顔がある。忙しい住職としてのお勤めの合間を縫って、シンガーソングライターとしての活動もしている。
煩悩のさせる技?
何でも夢中になってしまう子だった。絵を描くことも好き。音楽や演劇も好きで、母にクラシックのコンサートや歌舞伎などに連れて行ってもらった。
4歳から始めたピアノも習っていたが、いまひとつ馴染めず、中学生になった時、ギターを始めた。学校で、ギタークラブを作って皆で自由に、好きな音楽を楽しんだ。ジャズ、ロック、ファンク、ラテン、ポップ…なんでも聴いた。
高校は、地元の吉野ではなく、大阪の天王寺まで電車で片道2時間位掛けて通っていた。ギターを抱えて、朝早くから夜まで、バンドでロック三昧の日々を送った。
龍谷大学に入って、音楽仲間4人と「モガフープ」というグループを結成した。モガは、モダンガール。フープは輪。女性たちの輪を作りたいという気持ちが込められている。ロックが基本の音楽だったが、かっこいいものを作って驚かせようという気持ちが強かった。こんな曲も、あんなテクニックも、ライブでは、大ノリだった。全国規模のコンテストでグランプリを獲得するほどの腕前だった。
住職になることは、子どもの頃からの希望だった。母の胎内にいるころからお経を聞いて育ち、お経が好きだった。心地よかった。母もお寺の娘だったが、母から継ぎなさいと言われたことはなく、「好きなことをしなさい」と言われていた。寺を継ぐとしても、ずっと先のことだと思っていた。
三浦さんが音楽に明け暮れていたある日、大きく運命が転換することが起きた。突然、住職をしていた父が煩悩に惑わされる出来事があり、突如、家を出てしまったのだ。当時は、余りにショックが大きくて、父のことを思うと、冷静な気持ちになれなかった。とてもまじめな人だと思っていたのに、煩悩には勝てなかったようだ。最近になって、「縁に触れた」のだと思えるようになった。
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