しかし、1986年に妊娠したものの、子どもは8ヶ月で死産してしまう。このショックから立ち直らせてくれたのが夫だった。夫は、引越しの荷造り、荷解き、ハウスクリーニングをする会社を立ち上げたばかりだった。気晴らしに、会社を手伝わないかと持ちかけてくれた。これが、大きな転機となる。
最初は、失敗ばかり。親切がアダとなったり、気がつかないと叱られたり・・・。整理整頓のアドバイスをするうち、実例から収納のテクニックが見えてきた。市販のカラーボックスを自分の家具に作り変えるアイデアはブームになった。これまでアドバイスした家は2、000軒以上にのぼる。亡くなった子どものことを考えないように、猛烈に働いたのかもしれない。
1989年、初めて雑誌の取材を受けた。偶然、その雑誌の編集長宅の引越しを請け負っていた。細やかな仕事ぶりが目に留まり、取材を受けた。これが、その後のすべてのきっかけだった。仕事が仕事を呼び、活動範囲が広がっていく。収納の達人として、注目の存在になっていく。
1990年、『アメニティアドバイザー』という肩書きを自分でつけた。家事や収納の評論家ではない。快適な暮らしの助言者という思いからだ。
ちゃんと生きる
暮らしの知恵や考え方を伝授する『暮らしアカデミー』を、全国4ケ所で開いている。
「これまでの経験をもとに、日々の暮らしの中で体験し気づいたことを話して、快適生活の扉を開くお手伝いをしようと思って」
そういう場で、いつも言うことがある。それは、常日頃から、「ちゃんと」暮らそうということだ。
ストレスが生まれない「ちゃんと」した家とは、3つの「間」がある家。それは、「空間」「時間」「人間」。モノの出し入れがしやすい、ほどほどの収納スペースがある「空間」。何かしながら動き、ロスタイムが少ない「時間」の有効活用が出来る工夫。家族間でほどよくコミュニケーションが取れ、ほどよく「人間」のプライバシーが守れる間取りが考えられている。
そして、「ちゃんと」料理をする。「ちゃんと」遊ぶ。「ちゃんと」人を招く。そうしていれば、暮らしの中に、「ちゃんと」したゆとりが生まれる。
|