動物園革命といえる「行動展示」によって活き活きと輝く動物達のすごさと、飼育員達の素晴らしさを描いた。「命の輝き」と「命の平等」を掲げる『旭山動物園』は、アメリカのディズニーランドにも勝る世界に誇るテーマパークだと思った。
小菅園長は芸を仕込まれた動物は認めない。それは津川さんとて同じ思いだった。動物の自然な表情、動作を撮るために3チームを各地の動物園に貼り付けて1年。1日1カット撮れるかどうかの撮影を重ねた。
その結果、感動的なシーンが、いくつも撮れた。カロリー制限でエサを制限されたメスのチンパンジーに、オスがエサを檻越しに手渡すシーン。黒ヒョウのジャンプシーン。空飛ぶペンギンのシーンは、撮影日のみ青空だった。
監督としてのありかたも旭山動物園で教えられた。野生のままの動物が魅力的であるように、役者の発想や個性がどれだけ生かせるかは、監督の責任であり、使命だと。
群像劇で描きたいこと
第一作は、2006年公開の『寝ずの番』。落語家一家の師匠(長門裕之)、一番弟子(笹野高史)、おかみさん(富司純子)が相次いで亡くなり、寝ずの番の通夜で下ネタ満載の思い出話にふける弟子たち。その中で故人への愛情がにじみ出る物語。
二作目は、去年の『次郎長三国志』。雅弘監督の代表作をリメイクした。次郎長親分(中井貴一)はお蝶(鈴木京香)と祝言を終えた後、3年の修行の旅に出る。宿敵の黒駒勝蔵との抗争で病に倒れお蝶は死ぬ。弔い合戦に次郎長一家が立ち上がる。次郎長とお蝶の恋物語に、一家の絆が描かれる。
3作に共通するのは、群像劇。『寝ずの番』は落語一家の師弟愛、『次郎長三国志』も次郎長一家の結束を描いた。そして『旭山動物園物語』は園長と飼育係達のチームワーク。
人と人の輪が、すごいことを生んでいく。人と人が心を通わせれば、成功と幸せをもたらす「欲得で結びついている人たちもいるが、ボクはそういうものを捨てきった人々の結びつきを描きたい」
近い将来、マキノ映画の原点ともいえる究極の群像劇『忠臣蔵』を撮りたい。ドラマにチックがつき、ワンダーにフルがつく映画作りを続けたい。
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