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人に会うのが仕事のようなものである。人に会うたびに、元気になることが出来るという恵まれた仕事である。ことばのシャワーを浴びることが出来る幸せをつくづくかみしめている。 恋愛小説の名手・作家の高樹のぶ子さんに会う日は、朝から落ち着かなかった。かなり前からファンを自認しているものとして、幸せを通り越して、ときめきすら覚えていた。まったくだらしない。単なるミーハーではないか。でも、この仕事にミーハー精神、すなわち好奇心は大切なことと、へんな理屈をつけて、落ち着きを取り戻そうとしていた。 だが、本人を目の前にすると、心の内を読み取られているようで、結局、落ち着きは、どこへやらと雲散霧消してしまったのである。 |
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高樹のぶ子的日々 高樹さんは、多忙な日々の中から、時間を生み出し、夢中になれること、熱中できることをいくつも持っている。まさに本気になって遊ぶ、遊び心のある人だ。 高樹さんが小説を書くのは、原則的に、夫を送り出した後の昼間だ。徹夜して書くことはめったにない。そして夜は、「昼間、放出したものを補う時間」に充てている。エネルギーを充電する時間にしている。ただし、仕事のために役立つからという目的意識で遊ぶのではなく、ただ「溺れて、酔って」楽しんでいる。「我田引水かしら」と笑いながら「そうすれば結果として仕事に役立つの」とおっしゃる。骨の髄まで楽しんだものが、結果として役立つのだそうだ。 高樹さんは、良き遊び友達という夫と連れ立って、週に4日は、映画に音楽会にと、出掛ける。映画は、年に100本、音楽会も月に7〜8回に及ぶ。 昼間、弁護士の夫は、人の悩みや苦しみが相手だ。高樹さんも、複雑な男女関係と向き合っている。だからこそ「夫とは、楽しいことだけ共有していれば、精神も肉体も健康に年齢を重ねていくことが出来る」 遊びのあれこれ その時々、夢中になった遊びには、それぞれに始めたタイミングがあり、動機がある。 20代は、体を動かす遊びがほとんどだった。友達や恋人に誘われて気軽に始めたものがほとんどだった。テニスもそんな中のひとつだ。わずか1000円で買い受けた木枠のラケットで、プレーした。スキーに初めて挑戦した日、友達から借りた板を傷だらけにしてしまった。おわびに野沢菜を送り届けたのも、今では笑い話だ。 ![]() 闘うことで達成感を得る遊びから、自分を解放できる遊びにシフトしていった。40代に入ると、今度はエアロビクスに熱中する。勝負事とは無縁で、目に見える進歩とも無関係なものが心地よくなっていった。 感受性は、若いころより増していく。肉体的には衰えても、精神の反応は、むしろ研ぎ澄まされていく。50近くになってから、オペラを見始めた。「耳と目と心の運動にもってこいだ。」そうだ。画一的な筋書き、何百年と受け継がれてきたアリア、運命に敗れる人間の会われ、権力の非情・・・。そこに、新しさはないが、舞台上の祝祭的な別世界は、50近くになったからこそ、のめり込めた。密かに、男心を弄ぶカルメンにあこがれている。
激しいものだけでなく癒しも求め始めた。最近は、マンションの一角に二坪ほどの庭を作って楽しんでいる。たんぽぽ、スギナ、よもぎ・・・、ふるさとの里山をイメージしたものだそうだ。草花の成長に目を細めている。 高樹さんたち団塊の世代は、「滅私奉公」で、なかなか余裕が持てなかった。どちらかと言えば、平均的には、遊びが不得手な世代だ。一方で、青臭いものを引きずっている世代でもある。ジーンズはいて、ビートルズやローリグストーンズを聴いて、そのままおじいさんおばあさんになっていく特殊な世代だともいえる。「年相応のマニュアルのない世代だけに、若い世代を理解しようなどとはせず、自分たちが、いかに人生を楽しんでいるかを見せていったほうがいい」 遊びとの出会いはタイミングだ。タイミングは逃がさないことだ。「忙しい、時間がないと言い訳している人は、たとえ24時間暇になっても遊べない」と思う。 「遊びを優先してスケジュールをたて、仕事を必死で片付ければいい。忙しいときこそ遊ぶべき。遊んでいれば体の奥まで充実するはず」 「仕事も恋も遊びも、人生、本気で臨もう!」と高樹さんの目が、私に語りかけていた。私には、もっともっと高樹さんの小説を読んで、修行をする必要があるようだ。 |
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■イネ・セイミプロフィール フルート奏者として活躍中。俳画家。 絵画を幼少より日展画家の(故)川村行雄氏に師事。俳画を華道彩生会家元(故)村松一平氏に師事。俳画の描法をもとに、少女、猫等を独自のやさしいタッチで描いている。個展多数。 * 俳画とは |
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