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先回は30時間もかけてジャイサルメールのホテルにたどり着き、へとへとになりながら、一夜明けてインド料理を食べたら復活したところまで書きました。12月は最高気温25度、夜間は15度くらい日本の初夏の気候です。慣れて住めば都、大変楽しく10日間を過ごすことができました。
ジャイサルメールは城塞都市で12世紀の建物がそのまま残っています。中世の趣を残した美しい建物が城壁の中1500人が暮らす街ごと世界遺産に指定されていて、インド人が国内観光に来る場所として人気ですし、ヨーロッパの方々も観光に多く訪れていました。日本人が意外といないので不思議に思って添乗員に聞きますと、ニューデリーから飛行機で2時間半もかけて1日観光するほどの見どころはないので、ツアーの立ち寄り場所としては魅力がないのだそうです。絵描きの目と観光客の目は違うんですね。
今まで20年間、ヨーロッパ、アメリカなど文明国にしか旅したことのない私にとって東南アジアは初めてでした。縁あって訪れたインドで私はカルチャーショックを受けます。
ホテルから一歩外へ出ると、たくさんの牛たちが道路といい広場といい至るところに寝そべっています。白、黒、グレー、様々な色の牛たちは通行人が来ようとも車が来ようとものんびり歩いたり、寝そべったり餌を食べたりしています。インドでは牛は聖なる生き物ですから、みんなが可愛がっていて誰も危害を加えたりしません。
インド人のガイドが私に聞きました。
「あの牛は太っていますか?」
「いいえ、ガリガリです。」
「あの牛は餌を豊富に与えられて、好きなときに好きなだけ食べて、そしてのんびり暮らしています。あの牛が普通なのです。日本の牛がおかしいのです。」
なるほど、確かに家畜化されている日本の牛は肉牛にしろ乳牛にしろ人間の役に立つように太って変えられています。そして至るところにあるたくさん落ちている牛のフン。私も何回も踏みそうになりました。
「これは掃除するんですか?」
するとガイドさんは「この糞に藁を混ぜて発酵すると、料理の燃料として使えます。また、砂を混ぜてセメントにすればレンガを積むことができます。」
「この野良牛たちは、死んだらどうなるんですか?」
「ヒンドゥー教徒は牛を食べませんがイスラム教徒は食べますので持っていきます」
民家の軒先にはビニール袋が吊るしてあります。その中には野菜クズが入っています。ヒンドゥー教の多くはベジタリアンです。牛たちはよくわかっていて、つるしてある野菜くずを鼻でパンと跳ねあげると道路へちょっと落とします。それを好きなだけ食べてまた次の軒先へ移動します。いわば究極のエコだなと思いました。
狭い通路の至るところに糞があり、ゴミがあります。街にはゴミ箱がないので、ゴミは全て道路に投げ捨てられます。14億人の人口を抱えるインドはごみ問題が深刻です。排水溝はごみでつまり悪臭を放ち、不衛生この上ないです。インフラ整備はまったく追いついていません。IT長者が生まれる傍らで貧富の差はどんどんついていきます。女性の社会進出も進んでいません。しかし今を生きているインドの人たちの熱量たるや、日本の平均年齢が48.4歳(2023年時点)なのに対し、インドは同28.2歳。両国の差は実に20歳に及んでいるのですから国全体が活気に満ちているのもわかります。
靴磨きの青年が私のところにやってきて50ルピー(100円)でいいから靴を磨かせてくれと言います。磨いてもらうと本当にきれいにしてくれて、
「ありがとう僕の名前はスルタンです。覚えてね」とジェスチャーでアピールしました。
次の日、またスルタンに声をかけられます。
「私のことを覚えていますか?」
「ええスルタン君でしょ?」
「今日も靴磨きどうですか?」
「いくら?」*注:インドでなにかしらオーダーするときは先に金額を決めるのが鉄則です。事後ですとふんだくられます。
「500ルピー」
「昨日は50ルピーって言ったじゃないの?」
「今日は土曜日で人も多いし稼ぎ時だから」とニコニコしながら悪びれもせず答えます。これが、生きていく彼らのすべなのだと感心いたしました。
戦後のヤミ市で見るような光景(私は生まれていません)なのではないでしょうか?カースト制が廃止されても根強く残る職業選択も若い世代が新しい活路を見出して寝る間も惜しんで働きます。ここからかつて日本が経済大国にのし上がっていったように2027年に国内総生産(GDP)が世界3位になる見通しだそうです。
たくさんのインド人と牛と犬、そしてその隣にはたくさんの土産物屋さん、音楽を奏でる奏者たち、市場、スパイスの香り、たくさんの観光客にリキシャと呼ばれる三輪乗り合いタクシーが我先にクラクションを鳴らしながら縦横無尽に走り回ります。音とにおいと喧騒とほこりと砂塵。すべてのものが目新しく、そして驚きでした。まだまだスケッチ旅行は続きます。
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先回は30時間もかけてジャイサルメールのホテルにたどり着き、へとへとになりながら、一夜明けてインド料理を食べたら復活したところまで書きました。12月は最高気温25度、夜間は15度くらい日本の初夏の気候です。慣れて住めば都、大変楽しく10日間を過ごすことができました。
ジャイサルメールは城塞都市で12世紀の建物がそのまま残っています。中世の趣を残した美しい建物が城壁の中1500人が暮らす街ごと世界遺産に指定されていて、インド人が国内観光に来る場所として人気ですし、ヨーロッパの方々も観光に多く訪れていました。日本人が意外といないので不思議に思って添乗員に聞きますと、ニューデリーから飛行機で2時間半もかけて1日観光するほどの見どころはないので、ツアーの立ち寄り場所としては魅力がないのだそうです。絵描きの目と観光客の目は違うんですね。
今まで20年間、ヨーロッパ、アメリカなど文明国にしか旅したことのない私にとって東南アジアは初めてでした。縁あって訪れたインドで私はカルチャーショックを受けます。
ホテルから一歩外へ出ると、たくさんの牛たちが道路といい広場といい至るところに寝そべっています。白、黒、グレー、様々な色の牛たちは通行人が来ようとも車が来ようとものんびり歩いたり、寝そべったり餌を食べたりしています。インドでは牛は聖なる生き物ですから、みんなが可愛がっていて誰も危害を加えたりしません。
インド人のガイドが私に聞きました。
「あの牛は太っていますか?」
「いいえ、ガリガリです。」
「あの牛は餌を豊富に与えられて、好きなときに好きなだけ食べて、そしてのんびり暮らしています。あの牛が普通なのです。日本の牛がおかしいのです。」
なるほど、確かに家畜化されている日本の牛は肉牛にしろ乳牛にしろ人間の役に立つように太って変えられています。そして至るところにあるたくさん落ちている牛のフン。私も何回も踏みそうになりました。
「これは掃除するんですか?」
するとガイドさんは「この糞に藁を混ぜて発酵すると、料理の燃料として使えます。また、砂を混ぜてセメントにすればレンガを積むことができます。」
「この野良牛たちは、死んだらどうなるんですか?」
「ヒンドゥー教徒は牛を食べませんがイスラム教徒は食べますので持っていきます」
民家の軒先にはビニール袋が吊るしてあります。その中には野菜クズが入っています。ヒンドゥー教の多くはベジタリアンです。牛たちはよくわかっていて、つるしてある野菜くずを鼻でパンと跳ねあげると道路へちょっと落とします。それを好きなだけ食べてまた次の軒先へ移動します。いわば究極のエコだなと思いました。
狭い通路の至るところに糞があり、ゴミがあります。街にはゴミ箱がないので、ゴミは全て道路に投げ捨てられます。14億人の人口を抱えるインドはごみ問題が深刻です。排水溝はごみでつまり悪臭を放ち、不衛生この上ないです。インフラ整備はまったく追いついていません。IT長者が生まれる傍らで貧富の差はどんどんついていきます。女性の社会進出も進んでいません。しかし今を生きているインドの人たちの熱量たるや、日本の平均年齢が48.4歳(2023年時点)なのに対し、インドは同28.2歳。両国の差は実に20歳に及んでいるのですから国全体が活気に満ちているのもわかります。
靴磨きの青年が私のところにやってきて50ルピー(100円)でいいから靴を磨かせてくれと言います。磨いてもらうと本当にきれいにしてくれて、
「ありがとう僕の名前はスルタンです。覚えてね」とジェスチャーでアピールしました。
次の日、またスルタンに声をかけられます。
「私のことを覚えていますか?」
「ええスルタン君でしょ?」
「今日も靴磨きどうですか?」
「いくら?」*注:インドでなにかしらオーダーするときは先に金額を決めるのが鉄則です。事後ですとふんだくられます。
「500ルピー」
「昨日は50ルピーって言ったじゃないの?」
「今日は土曜日で人も多いし稼ぎ時だから」とニコニコしながら悪びれもせず答えます。これが、生きていく彼らのすべなのだと感心いたしました。
戦後のヤミ市で見るような光景(私は生まれていません)なのではないでしょうか?カースト制が廃止されても根強く残る職業選択も若い世代が新しい活路を見出して寝る間も惜しんで働きます。ここからかつて日本が経済大国にのし上がっていったように2027年に国内総生産(GDP)が世界3位になる見通しだそうです。
たくさんのインド人と牛と犬、そしてその隣にはたくさんの土産物屋さん、音楽を奏でる奏者たち、市場、スパイスの香り、たくさんの観光客にリキシャと呼ばれる三輪乗り合いタクシーが我先にクラクションを鳴らしながら縦横無尽に走り回ります。音とにおいと喧騒とほこりと砂塵。すべてのものが目新しく、そして驚きでした。まだまだスケッチ旅行は続きます。