No.001 十三まいり~五月~
「ええな。渡りきるまで振り返ったらあかんえ。」
京都の町では、子どもたちが数えの年で十三になると、嵐山の法輪寺にお詣りをする。その帰り道、一回でも振り返ると、せっかく授かった知恵と福徳を、ご本尊の虚空蔵菩薩様にお返しすることに。お寺を出て、桂川にかかる渡月橋を渡り終えるまで、子どもたちはひたすらに前を向いて、一言も話さず、一人で歩いていく。
私もそうして渡月橋を渡った子どもの一人だ。大人の寸法に本裁ちした晴れ着を初めて身にまとい、慣れないお草履につまづきそうになりながら。一五五メートルの橋が、歩いても歩いても永遠に続くようで、不安になる気持ちをかくしつつ、ひたすらに前を向いて。
渡り切って振り返ると、五月の新緑にきらきらと眩しい桂川。今さっきまで立っていた橋のたもとは、はるか彼方の対岸に。
子どもの世界のこちら岸から、大人の世界の向こう岸へ。
晴れ晴れしく見渡す水の流れには、ひとひらの寂しさが、浮きつ沈みつ。
ひぃさま(松根裕美)
京都生まれ、京都育ち。
学生時代は日英を問わず朗読や作文に多く携わる。高校時代、裏千家主催学校茶道体験論文コンテストにて優秀賞受賞、第18回裏千家ハワイセミナーに招待。京都私学ESS連盟主催英語暗唱大会優勝、英語弁論大会優勝。大学時代、世界遺産「下鴨神社」で十二単王朝舞を学び、名月管絃祭で舞を奉納。現在は京がたりの舞台活動に加え、一般社団法人きものカラーコーディネーター協会認定講師として、きもの・色・ことばに関わる各種レッスンやコンサルティングを、名古屋を中心に各地で展開。きものカラーワークやセルフ和髪レッスンなど、地方や海外からも生徒が訪れる人気講座を運営。
インスタグラム→ @hiromimatsune
ひぃさま❀藤間勘萃 幻燈館
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藤間勘萃
1958年に名古屋で生まれて、1977年にデビュー。
日本舞踊家 (宗家 藤間流 名執)/楽師としてNHK「日曜美術館」や「花の舞・花の宴」、養老孟司 (東京大学名誉教授)との「以心伝心・以身伝心」、久田舜一郎 (小鼓方 大倉流15代宗家)との「秋天の興」など放送や舞台に数多く携わる。作/編曲家として「世界デザイン博覧会」テーマ館音楽、名古屋市芸術祭主催公演テーマ曲、関西二期会オペラ、合唱曲「弥陀観音大勢至」(深井丸 興西寺所蔵)、「おとほぎ」(あいちオカリナ フェスタ テーマ曲)、音楽版「浄土真宗 正信偈草四句目下」(光壽山 阿彌陀寺所蔵)などを手掛ける。名古屋音楽大学 音楽学部 作曲学科卒業。日本福祉大学 社会福祉学部を経て、現在、 東海学園大学 教育学部にて講師。
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「ええな。渡りきるまで振り返ったらあかんえ。」
京都の町では、子どもたちが数えの年で十三になると、嵐山の法輪寺にお詣りをする。その帰り道、一回でも振り返ると、せっかく授かった知恵と福徳を、ご本尊の虚空蔵菩薩様にお返しすることに。お寺を出て、桂川にかかる渡月橋を渡り終えるまで、子どもたちはひたすらに前を向いて、一言も話さず、一人で歩いていく。
私もそうして渡月橋を渡った子どもの一人だ。大人の寸法に本裁ちした晴れ着を初めて身にまとい、慣れないお草履につまづきそうになりながら。一五五メートルの橋が、歩いても歩いても永遠に続くようで、不安になる気持ちをかくしつつ、ひたすらに前を向いて。
渡り切って振り返ると、五月の新緑にきらきらと眩しい桂川。今さっきまで立っていた橋のたもとは、はるか彼方の対岸に。
子どもの世界のこちら岸から、大人の世界の向こう岸へ。
晴れ晴れしく見渡す水の流れには、ひとひらの寂しさが、浮きつ沈みつ。
ひぃさま(松根裕美)
京都生まれ、京都育ち。
学生時代は日英を問わず朗読や作文に多く携わる。高校時代、裏千家主催学校茶道体験論文コンテストにて優秀賞受賞、第18回裏千家ハワイセミナーに招待。京都私学ESS連盟主催英語暗唱大会優勝、英語弁論大会優勝。大学時代、世界遺産「下鴨神社」で十二単王朝舞を学び、名月管絃祭で舞を奉納。現在は京がたりの舞台活動に加え、一般社団法人きものカラーコーディネーター協会認定講師として、きもの・色・ことばに関わる各種レッスンやコンサルティングを、名古屋を中心に各地で展開。きものカラーワークやセルフ和髪レッスンなど、地方や海外からも生徒が訪れる人気講座を運営。
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1958年に名古屋で生まれて、1977年にデビュー。
日本舞踊家 (宗家 藤間流 名執)/楽師としてNHK「日曜美術館」や「花の舞・花の宴」、養老孟司 (東京大学名誉教授)との「以心伝心・以身伝心」、久田舜一郎 (小鼓方 大倉流15代宗家)との「秋天の興」など放送や舞台に数多く携わる。作/編曲家として「世界デザイン博覧会」テーマ館音楽、名古屋市芸術祭主催公演テーマ曲、関西二期会オペラ、合唱曲「弥陀観音大勢至」(深井丸 興西寺所蔵)、「おとほぎ」(あいちオカリナ フェスタ テーマ曲)、音楽版「浄土真宗 正信偈草四句目下」(光壽山 阿彌陀寺所蔵)などを手掛ける。名古屋音楽大学 音楽学部 作曲学科卒業。日本福祉大学 社会福祉学部を経て、現在、 東海学園大学 教育学部にて講師。
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「ええな。渡りきるまで振り返ったらあかんえ。」
京都の町では、子どもたちが数えの年で十三になると、嵐山の法輪寺にお詣りをする。その帰り道、一回でも振り返ると、せっかく授かった知恵と福徳を、ご本尊の虚空蔵菩薩様にお返しすることに。お寺を出て、桂川にかかる渡月橋を渡り終えるまで、子どもたちはひたすらに前を向いて、一言も話さず、一人で歩いていく。
私もそうして渡月橋を渡った子どもの一人だ。大人の寸法に本裁ちした晴れ着を初めて身にまとい、慣れないお草履につまづきそうになりながら。一五五メートルの橋が、歩いても歩いても永遠に続くようで、不安になる気持ちをかくしつつ、ひたすらに前を向いて。
渡り切って振り返ると、五月の新緑にきらきらと眩しい桂川。今さっきまで立っていた橋のたもとは、はるか彼方の対岸に。
子どもの世界のこちら岸から、大人の世界の向こう岸へ。
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日本舞踊家 (宗家 藤間流 名執)/楽師としてNHK「日曜美術館」や「花の舞・花の宴」、養老孟司 (東京大学名誉教授)との「以心伝心・以身伝心」、久田舜一郎 (小鼓方 大倉流15代宗家)との「秋天の興」など放送や舞台に数多く携わる。作/編曲家として「世界デザイン博覧会」テーマ館音楽、名古屋市芸術祭主催公演テーマ曲、関西二期会オペラ、合唱曲「弥陀観音大勢至」(深井丸 興西寺所蔵)、「おとほぎ」(あいちオカリナ フェスタ テーマ曲)、音楽版「浄土真宗 正信偈草四句目下」(光壽山 阿彌陀寺所蔵)などを手掛ける。名古屋音楽大学 音楽学部 作曲学科卒業。日本福祉大学 社会福祉学部を経て、現在、 東海学園大学 教育学部にて講師。
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