海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
ちょっとおじゃまします
 かいがらは清水さんのインスピレーションの源。絵を描くことも大好きだ。清水さんが住む常滑の海岸で、孫や知人たちがかいがらを拾い集めてきてくれる。この海で、子供のころはよく釣りを楽しんだという。そして何よりも生まれ育った常滑の海が大好きだという。清水さんはそのかいがらにアートを感じ、ビビットな色使いで、自分のかいがらアートを磨き上げていく。清水さんのかいがらアートは、とにかくカラフルだ。清水さんが心地よいと思ったものが、自然とかいがらに描かれていく。魚、カエル、鳥、猿、ナマケモノなど、その表情はどれも愛くるしい。海で見つけたかいがらに命を蘇らせて人生を彩る…、清水さんの日常風景なのだ。
 清水さんは数年前に大病を患った。そのことを知った私には、このかいがらアートは清水さんの人生の歴史を感じざるを得ない。清水さんの作品は、赤、青、黄色、ピンク、オレンジ…と、明るい原色が使われることが多い。それは清水さんの強さであったり、優しさであったり、年齢を重ねて心が豊かになっていく力だと思う。
 そんな力をこのかいがらアートは持っているように思う。このかいがらアートで勇気づけられた人がいることを知った。その人は「まりあちゃん」という女の子という。清水さんはまりあちゃんに会うたびに必ず、かいがらアートをひとつプレゼントしていた。そして、清水さんはまりあちゃんに会うとひとつプレゼントすることを楽しみにしていたという。十数個プレゼントしたという。
 誰でも好きなことには無心になれる。清水さんも無心になれる、このかいがらアートに没頭している時間が大好きだという。昨年十月に膨大な作品を集めて個展を開いた。懐かしい人たちが来てくれた。色彩の美しさや清水さんの情熱に感銘を受け、アルバムを作ってくれた友人もいる。ワークショップも大盛況だった。一月の下旬、児童館で三十人程の子供たちを集めて、かいがらアートのお遊び会を予定している。
 清水さんは私にこっそり、黄色と青色で描かれた魚のかいがらをプレゼントしてくれた。今、そのかいがらアートは私の机の上に飾られ、私を眺めている。帰り際、「みんな元気でいようね。約束だよ。」と、清水さんと約束した。私の声がいつもより響いている。
(赤井伸衣)