海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
ちょっとおじゃまします
 飴色のゴツゴツとした質感の益子焼が好きだった。重厚な色合いとぼってりとした肌触りが気に入っている。だから、卒業後は栃木県で益子焼を覚えるつもりだった。2011年の東日本大震災で窯元も被害を受け、予定をしていた窯元への弟子入りは見送られた。次に選んだ所は常滑だった。理由は、ただただ急須が大好きだったからだ。 常滑では、製陶所の一角を間借りして作陶に励んでいる。ここでは、同じような夢をもつ者や、同じような境遇の若者が日々、切磋琢磨している。ある時はダイナミックに、そして、またある時は繊細に、若手作家の独自の視点でお互いの作品を刺激し合い、お互いがより一層、磨き合っているという。
 柴田さんの作品は、時に造詣がないと手厳しく言われることがある。自分でこう作りたい、こう使ってくれたら嬉しいという思いを込めても、相手にその気持ちが伝わらなければ意味がないので、手厳しいアドバイスも嬉しいという。まずは自分を知ってもらうことから…と思い、ギャラリーを中心に声掛けをしている。常滑、東京、仙台と、活動の場を広げている。その土地柄なのか、お客さんの人柄も各地で違って、面白いという。お酒が好きだから、作品展に出掛けた時には、ぶらっと居酒屋に出掛けることを楽しみにしている。隣に座ったほろ酔い気分の男性に、自分の作品をどさっと、買ってもらったこともある。人との出合いが好きなようだ。
 以前、予備校の先生に陶芸だけでは食べていけないから辞めた方がいいよと、言われたけれど、飛び込んでみた。焼き物の歴史を肌で感じることのできる、この常滑という土地での生活は仲間にも恵まれ、しばらくはここでやってみるつもりだ。将来は、自分だけの作品で食卓を飾ってくれたら嬉しいという。柴田さんは自分の作品は絶対使いやすいと、自負している。渦を巻いた白い皿と黒い皿は、確かに使いやすそうだし、どんな料理にも映えそうだ。毎日使うものだから、白と黒は嬉しい。
 せっかく常滑に居るのだから「チャラ」という昔から常滑にある化粧土で、目も心も洗われる作品を作ってみたいと、話す。
(赤井伸衣)