海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
ちょっとおじゃまします
 ひょんなことから彫りを始めた。知人に強引に誘われて、もう43 年になる。もともと、書や絵をかくことは好きだったから、苦痛ではなく、今では彫りと出合って、幸せだったと思っている。
 山田さんの仕事は急須屋さんからの注文で、彫りを施している。急須の技術に自分の彫りの感性を取りこむ。自分らしさを、どう伝えられるのだろうかと思いあぐねる。そして、作品が完成して、彫りを施した急須で一服する。その時、楽しいひとときとなると、山田さんはいう。
 とげがあるから美しいといわれるバラの花や、大輪の花の美しさが際立つ牡丹などの植物を主に彫り続けている。日課は野山を散策して植物観察すること。デザインのモチーフは、こうした日常の生活の中から生まれる。今日は岐阜まで足を伸ばして、紅葉を楽しむつもりだという。
 30年前は日曜日もないくらい忙しかった。夜中の2時までやっていた。ただただ、楽しかった。よく売れた。そして、若かったから彫ることに必死だった。たくさんの急須に彫りを施した。ギャラリーでは自分が彫った急須が残っていたことに赤面したことを覚えている。自分の彫った急須に出合えたことが嬉しかったことも覚えていると、当時を懐かしく話した。
 今は、ぼちぼちと焦らず仕事をしている。これからも、ずっと続けていくつもりだ。
(赤井伸衣)