海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
ちょっとおじゃまします
 自宅兼工房に置いてあるロクロや土は気分のままに土をこねてみたり、大きな壺を制作してみたりと、そこは私の城といった感じだ。何かを作ってみたり、表現してみたりすることは大好きだ。
 陶芸は大学で本格的に学んだ。リムさんが改めて刺激を受けたのは、Mr. Peter LowHwee Min さんと出会ったときだった。恩師の陶芸に対する姿勢に感動を覚えたようだ。
 リムさんは、日本語を話せず日本に留学した強者だ。
 その後英語教師をしたが、やっぱり陶芸をやりたかった。今年で来日3年目になる。日本の文化に戸惑いながらも、こうでなきゃだめという決まり事に対して尖がった気持ちからふっと力を抜いて、日本を冒険している。
 シンガポールでは手作りの食器を使うことは少ない。手作りの食器は芸術として認められない傾向にある。だから、陶芸家という仕事は評価されにくい。でも手作りの器は素晴らしい。手作りには手作りのアンバランスさと温かさがある。使い込むほどに手になじむ。手に吸いつくようなやわらかさがある。自然の色にこだわって作陶している。いつか、日本の陶芸をシンガポールで発表してみたい。日本・常滑を基盤にして少しでも、シンガポールに貢献できたらという思いは、リムさんの創作を駆り立てている原動力となっている。
 リムさんは今、陶芸をする環境の整った常滑を大層気に入っている。ぐい呑みに魅せられて、自然釉を使い、まき窯でぐい呑みを焼いている。どっしりと力強いながらもお酒の美味しさを引き立てるぐい呑みは、シンガポールと日本の友好の証として、友人たちを、シンガポール料理でもてなす時に使うこともある。そこでシンガポールの「マーライオン」や「ユニバーサル・スタジオ・シンガポール」急速な経済成長なども楽しいトークはシンガポール満載になる。どこか日本ではない風が食卓に運ばれてくる。異文化を楽しむことで、会話はぐ〜んと弾む。
 話していると、本当に作ることが好きなのねと思うことがある。陶芸はもちろんのこと、料理も大好きだという。陶芸と料理は、全ての工程を一人でやるから似てるという。今日は休日のリムさん、きっと、シンガポールチキンライスを作っているだろうなあ。
(赤井伸衣)