海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
ちょっとおじゃまします
 陶房杉の歴史は明治25年まで遡る。創業から、食器・花器・陶壁画等、クラフトからアートまで幅広い創作活動を続けてきた。匠さんは4代目になる。
 陶芸も美しい手仕事。匠さんは「いっちん」という技法で金・白・藍色の絵付をしたポットを作った。絵付でゴージャス感を出したというポットが自慢の作品のようだ。匠さんならではの手仕事が息づくポットは、他との違いを出そうと始めたという。他とは違うぞと、意気揚々と話してくれる。でも、その差別化がポットの印象を著しく損ねてしまったのか、個性が先行してしまったのか、売れなかったと苦笑を浮かべた。売れなくても、このポットは相当匠さんの自信作のようで、「いっちん」という技法で今度は何を作るつもりなんだろうか。
 平安・鎌倉時代には日本最大の窯業産地として、栄えた常滑焼の美意識を匠さんは大切にしている。
 常滑には胴・蓋・取っ手・注ぎ口のパーツからなる常滑焼の急須がある。急須を一段と際立たせる技術もある。引き継ぐ人がいないと、もったいない。この技術は継承されるべきだと匠さんは話す。お茶を出す行為はお客様をおもてなしするという意味が込められている。日本のゆかしい文化、おもてなしにも繋がる。日本の文化が育てた急須でお茶を淹れる素晴らしさを慈しむことを伝えていくことも、匠さんの務めでもあるように思う。なぜなら、常滑の急須が大好きで、常滑を熱く語り、常滑が大好きな人だからだ。
 まずは自分の作品を皆に知ってもらいたいと話す。家業だから、長男だからと始めた仕事だけれど、粘土という素材は、何でも出来てしまう怖さもあるという。楽しいけれど、考えることも多いようだ。小学生の1人娘とのおしゃべりが息抜きという。
(赤井伸衣)