海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
ちょっとおじゃまします
 とこなめ陶の森での2年間の研修期間を終えたばかりの片山さんは、5日後に大阪に帰る予定だといった。
 大学を卒業後、2年間の社会人生活を経験した。縁あって、常滑に来た。常滑焼の急須は注いだあとの切れ、軽さ、蓋はピタッとサイズが合っていること、また、使うたび、奥深い表情も見せてくれることなど、素晴らしいと片山さんは絶賛した。
 祖父は大工だった。小さい頃は祖父の仕事現場に、よく出掛けた。いつか、自分の家を建ててみたい。物を作ることは大好きだ。薪窯で作ったという作品は、ずいぶんと落ち着いている。土に手をかけ、時間をかけて、片山さんにしかできない味が生まれる。片山さんの職人気質なところもあって、作品は悠然としているといった印象を受ける作品ばかりだ。
 物を作ることは、なによりも楽しい。なぜ、そこまで陶芸に魅せられたのか。それはひとえに陶芸家は夢を形にすることができる職業だからだ。趣味が高じて陶芸を本格的に始めた。葛藤することもあった。急須というシンプルなものだけれど、伝統的なスタンダードなものがもつ良さを、自分の感性で伝えていきたい。本当にいいものは、きっと五感に残ると思う。陶芸家としてぼちぼち歩き始めたばかりだけれども、いつか、そのように思われる創作活動をしてみたい。
 今までは作品を売りたい、売りたいの一方だったけれど、さまざまな人と出合い、さまざまな角度からの刺激を受け、どういう勉強が自分には足りないのか、日々研鑽を積むことを忘れないようにしたい。今、生まれ故郷の大阪で新たな一歩を踏み出したばかりだ。
(赤井伸衣)