海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
ちょっとおじゃまします
 片岡さんは窯元の3代目。片岡さんにとって常滑=陶器の町。焼き物の町というイメージが強い。そして、片岡さんの幼い頃の思い出といえば、祖父と父の作る焼き物だった。幼い頃から生活の日常の一部だった。祖父と父は大きな存在だった。祖父と父から受け継いだものが、自分の体に染み込んでいて、焼き物と一緒に育ってきたようなものだという。
 工房内は花瓶や壺といった大作でいっぱいだ。青色や緑色の釉薬で焼かれた花瓶は、ひときわ目を引く。機知に富んだデザインはきっと、お花の先生に絶大な人気を博したのだろうと思いきや、そうでもないと、片岡さんは話す。けなげに咲く草花を無造作に生けてみたら、今までとまったく違うお花の生け方を知って、なんだ、何でもありじゃないと、影響を受ける。片岡さんの花瓶は新鮮な刺激を与えてくれると同時に、まだ知らない世界の扉を開くのに欠かせない花瓶のように思われる。
 今、とりわけ力を入れているものは天目釉だ。やり方1つで、まったく違う色が出るから、天目釉は面白い。培った熟練の技をベースに程よいはずしを入れて、時に独自の遊び心を加えたりもして…。片岡さんの天目釉は光っているという特徴がある。天目釉だけで、一つの窯をたく。「窯の中の神様は意地悪でトランプみたい。天目釉をやり始めて10年になるけれども、完全なものはない」という。片岡さんのその言葉が、声が、気軽なおしゃべりでも特別なものに響いて感じられる。作れば作るほどに、焼けば焼くほどに迷ってしまう。わからなくなってしまうようだ。
 5月26日(月)から6月1日(日)まで、ノリタケの森ギャラリーで個展を予定している。
(赤井伸衣)