海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
ちょっとおじゃまします
 考えてみれば─、考えなくても─、この話は快く引き受けてみるべきだ。
 村田さんの元に上海市のとある茶宴館で、作品の展示・即売と轆轤を使ってのデモンストレーションをやってみないかという話が舞い込んだ。悪い気持ちはしなかった。むしろ、少しだけ自分が誇らしげだった。「やっぱり、すごいね」と、応援してくれる人がいた。その言葉よりも、自分の作品への価値や評価が気になった。
 いざ行くと決めたら荷作り、作品選びに奔走した。世界には様々なギャップがあるから、作品選びも慎重になってくる。どのような物が中国人に好まれるのだろうか?事前にリサーチはしたけれど、あれもこれも考えている間に90点になってしまった。90点を手荷物で中国に持っていくことにした。
 初めて訪ねた上海は蒸し暑かった。ちょうど、日本の梅雨時に似ていた。空はグレーといった感じだ。やっぱり、中国の大気汚染は重大な問題だ。交通ルールは守られていないようだ。行き交う車の隙間から、人が横断する。こんなことは、何度も見た。事故が起こらないのが、不思議なくらいだ。というよりも、日本人が交通ルールをきちんと守っているような気がする。
 土と轆轤。上海という特別な場所ではあったが、自分と好きな物があるだけで自信があった。3日間行われたデモンストレーションは、大成功に終わった。珍しそうに興味を示してくれた女の子がいた。轆轤の体験を希望する見学者もいた。いろいろと質問してくる人もいた。開拓の余地はあるなぁと、思った。ここ上海で、日本の陶器は売れると、確信した。自分の確信を頼りに、60点余りを、今回お世話になった茶宴館のオーナーに託すことにした。
 今まで、現状に満足しているつもりはなかった。何も考えていないこともなかった。帰国後は反響が大きかった。少しだけ胸をはって言えることがある。仲間たちに道筋を教えたような気がすることだ。
(赤井伸衣)