海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
ちょっとおじゃまします
 陶芸を始めた頃から現在も、陶芸に対する思いは何ひとつ変わっていない。仕事というよりも、陶芸が好きで好きでしょうがないという気持ちで今まで続けている。
 25歳の時、脱サラで製陶業を始めた。当時の常滑焼は飛ぶように売れた時代だった。弱冠20代の青年だった柴田さんは、焼き物って儲かるんだなぁと思ったそうだ。その後、柴勝窯を開窯、本格的に盆栽鉢の製造を始めた。
 柴田さんの盆栽鉢は良質なものであるだけに、植物の組み合わせを意識せず、自然に調和されるといわれる。そして、盆栽鉢と共にやさしい空間を生み出している。
 こうしたい、ああしたいと、自分のありったけの知恵と技術を出し切った時にできた作品は、たまらなく面白い。これが、今まで盆栽鉢を作り続けてこれた理由のひとつでもある。
 盆栽が大好きで、柴田さんの盆栽鉢はやっぱり特別という人が訪ねてくる。盆栽鉢のオーダーにも快く引き受けてくれる。相手の思いをデザインし、作る。ちょっとした柴田さんの心遣いや意外性のある色、先進的なセンスを持った構図、モダンな絵柄など他とは違う一品が手に入るのも嬉しい。
 67歳になった今でも、陶芸に対する初心が変わっていないからこそなのだろう。ひとつひとつ、小さな発見を見つけて自分らしい盆栽鉢を作りあげる。出合うもの全てがインスピレーションの源だという。個展で出合い、盆栽鉢を購入、植物を育てるというプロセスを通して、面識のない人たちと心の奥深くでつながっているという感覚が嬉しい。個展には、新たな出合いがある。盆栽鉢製造の仕事に携わるうちに、柴田さん自身が盆栽のその奥深い魅力にとりつかれたという。
 帰り際、相変らず、育てることの苦手な私に柴田さんは、盆栽をプレゼントしてくれた。明日から1日1回の水やりが日課となりそう…。
 現在、日本小品盆栽組合に所属。
(赤井伸衣)