海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
ちょっとおじゃまします
 15歳からどっぷり浸かった陶芸人生は、実に楽しいものだ。父は火鉢などを手がける職人。伯父は彫り師。これらの環境がつないでくれた縁で、父の作品に彫りを入れていた。
 自分で粘土から皿やカップ、硯などの作品を作り、彫りを入れ、彩色する。清月さんの作品全てのものに彫りが入っている。清月さん自身、椿や牡丹、朝顔などの日本の古典的な花が好きなようで、古典的な花を現代風にアレンジし、作品に収める。彫りを入れることで、立体感が生まれる。そして、私が清月さんの作品で一番心憎いなぁと思ったのは、作品の裏に一輪の花が彫られ、彩色されていることだ。花は人に楽しみをもたらす。清月さんは、その楽しみをもたらす人でありたいと思っている。作品を通して、人と人をつなぎ、楽しさをもたらす。清月さんの作品はコミュニケーションツールでもある。
 清月さんの一枚の皿を購入した人が、早速、その晩の食事にサラダを盛ったといい、それまで、ちょっとしたケンカをしていた人と仲直りするキッカケができたと、お礼の電話をしてきた。清月さんは、こんなストレートな言葉に勇気をもらったと、嬉しそうに話す。スペシャルな一枚を選んでくれた人が、その後も心躍るひとときを彩ってくれると思うと、頑張るエネルギーが蓄積される。そして、清月さんは作品を通して、つながる出会いがたまらなく好きだという。
 先月、初個展を常滑で開いた。会期中の11日間を個展会場に詰めた。個展が清月さんにいい影響を与えてくれた。清月さんがいい影響を受けたように、今後も誰かの心に響く作品を作りたいという。11日間は感謝しっぱなしの毎日だった。「個展が終わったので寂しくなっちゃたなぁ」と、ボソッと発した言葉が、何故か、私の中で響いてしまっている。  
(赤井伸衣)