海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
ちょっとおじゃまします
 工房は、焼き物散歩道のコース内にある登窯(陶栄窯)の南隣りにあり、連日、常滑を観光で訪れる人で賑わっている。ここは、素朴な新鮮さを感じさせてくれる。
 伝統工芸士のご主人・渡辺二三一氏と一緒に作陶している。ご主人は、奥さまの町子さんのことを活発だけれど、ふつうの奥さんという。町子さんは、ご主人のことをいい人、一度もケンカをしたことがないんですと、紹介してくれた。お互いの存在を尊重し合い、認め合っていた。そう思わせる、不思議なくらいまで、息ぴったりの仲のよさ、美しさを感じさせられた。
 町子さんは、窯屋の一人娘だ。土もあり、釉薬もあり、焼き物をする環境は整っていたが、自ら、焼き物をすることはなかったという。友人に誘われてひも作りを体験したことから、主婦の感覚ではあったが、焼き物の面白さ、奥深さにハマってしまった。地道に着実に腕を磨き続けた。周りの勧めもあり、長三賞にも挑戦し続けている。近年では、その実力も認められ、多くの長三賞を受賞している。
 町子さんが得意としているものは、たたらとひも作りである。立体感のある絵付けは、花びらが浮き上がって見える。これは、町子さんが試行錯誤の末に作り上げた自信作だという。もう一つ目を引く作品があった。それは、魚のうろこのようなバキバキとした粉引きの皿であった。このような粉引きを「人文字粉引」という。グリーンが、とっても印象的だった。また、町子さん自身も、この粉引きのグリーンが好きという。町子さんの手がける作品は、心惹かれる温かさに包まれたものであったり、天真爛漫で豪快な女性を感じさせるものであったり、女性が秘めている力強さを感じさせるものであったりと、それらの作品は、さまざまな表情を見せてくれる。町子さんの感性は、美しく、面白い。繊細な知性は、常に火花のように燃えている。
 町子さんが生まれ育った常滑には、守っていかなければならない「常滑の風景」がある。そして、一人でも多くの人が物作りの楽しさや焼き物の奥深さにふれてほしいと、町子さんは切に願っている。
 趣味は、始めて18年になる民踊。踊りは、町子さんの元気の源だ。
 冒頭に記した工房(窯元・渡辺章製陶所)には、ご主人と町子さんの作品が常設展示・販売している。作陶のかたわら、観光客(常連も多いという)を相手に陶芸教室も開いている。
(赤井伸衣)