海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
ちょっとおじゃまします
 常滑市内のギャラリー巡りをしていると、一度はどこかで目にしたことが、きっとあるだろう。愛くるしい猫のマグネット、カップ、箸置き、羊のオブジェなど…。作者は、山本一圭さんである。塩原愛子さんの長男で、愛子さん自身も動物をモチーフにオブジェや小物などを手がけている陶芸家だ。
 母の影響を強く受け、自然と焼き物の道に進むことができた。焼き物は想像以上に面白かった。粘土という素材が形になっていく。焼き上がりも毎回、違う。いつしか、夢中になっている自分に気づいた。大学卒業後は、常滑市陶芸研究所に進み、技術を磨いた。現在は、常滑作陶家協会に所属し、技術を高めている。陶芸教室で講師を務めながら、消防団、ボーイスカウトにも積極的に取り組んでいる。最近では、ピアノ教室にも通い始めた。モーツァルトの優美で、楽しい曲調が一圭さんは好きという。
 幼い頃の一圭さんは、多くの小動物に囲まれていた。物心ついた頃には、犬、猫、小鳥、ウサギ、カメ…。その頃に焼き付けられた日常生活の中に小動物と共に暮らす光景がある。そして、それらに親しみをもって、世話をした。この頃に培った感性が、現在の作陶の原点ともいえる。動物の温かさが、焼き物の温かさと共通すると、一圭さんは話す。
 工房には、個展を終えたばかりとあって、個展のために手がけた作品が並べられていた。自らを鼓舞するかのように、300点の作品を作り上げた。個展で発表する作品は、150点。一圭さんの作品は「どことなく土ぽくって、飽きのこない作品」と、定評がある。今回の作品展は、ほろ苦くもさわやかだった。このほろ苦さが、この先の一圭さんの活躍に大きなメッセージとなることだろう。
 一圭さんのことを「見た目はイケメンだけど、中身は真面目」という人がいる。なかなか心を開いてもらえず、寡黙で、とてもシャイな男の子という印象を受けたが、今後の常滑焼を担うニュータイプの陶芸家の誕生を予感させた瞬間でもあった。
 4月27日(金)から29日(日)まで、常滑市文化会館で常滑作陶家協会メンバー13名によるグループ展が行われる。
(赤井伸衣)