海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
陶芸家 中塚奈美さん 前田亜希子さん ちょっとおじゃまします
 青い瞳をした外国人さん。スキンヘッドで怖そう。言葉の通じない居心地のわるさを感じた。あれから、3年。私の偏見は驚くほど、消えていた。
 母国フランスを離れて3年半。16歳で迷わず焼き物の道を選ぶ。フランスでほロクロ職人として、腕を磨いた。人脈を頼りに、焼き物の町・常滑を訪ね、今では「常滑が大好き」という。その言葉の裏には、常滑で築いた華やかな交友関係がある。友人を大切にする彼の周りには、多くの仲間がいつもいる。その多くの仲間の中から、お嫁さんを見つけた。
 来日してまもなく、常滑に彼自身の工房『OLI'S SHOP』を開く。工房は築80年、昭和初期の面影を残す建物と、フランス人が作る焼き物、どこかミスマッチ。しばらくすると、ふわふわと別世界へと案内される。そこには、薪窯で焼いた、自然袖の食器が陳列されている。一見、飾り気のない黒いだけの器に見えるが、「ちゃんと顔があるんです」と教えてくれる。日本人は存在感のあるもの、そして、焼き物に精通した人が多いから、満足させるため、個性を生かしつつ、ちょっと味付けをしているのだという。フランス人として培った味付けなのだろう。現在、その自然袖の器は根強い人気を維持している。器の他にも、花瓶・オブジェなど幅広く手がけている。
 「僕は、ロクロ職人だ」と、何度もいった。フランスで積み上げたロクロの技術には、かなりの自信と誇りを持っている。だから、ロクロを回すやわらかな音を聞いていると、心がほぐれていく。外国人特有の乗りのよさとフランスの文化を堪能できる。そんな雰囲気が、そこにはある。
 今後も日本に住むつもりだ。フランスに帰る予定はないという。これからも常滑で陶芸活動をするつもりだ。最後に彼はいった。「日本は第二の故郷です。」
(赤井伸衣)