海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
陶芸家 中塚奈美さん 前田亜希子さん ちょっとおじゃまします
 富本さんはいつも、ひょうひょうと現われる。そして、ひょうひょうと、どこかへ消えてしまう。今回は、心の弾む話がたくさん詰まっているかなぁ…と、期待をして伺った。
 陶芸を始めて、かれこれ20年。長いトンネルに入ったきり、今だに模索中という。「常滑に生まれたから」と、漠然と始めた陶芸。いつしか、情熱のはけ口が陶芸となってしまったという。意外と失敗だらけの人生なのかなぁ…と思えば、ずっと物作りの理想を追究している、自分探しの旅をしている、とてもピュアな人だった。
 私が富本さんの作品に出合ったのは、8年程前のことだ。今では、すっかりご無沙汰となってしまった『Love』というメッセージの描かれた湯呑み。そのなぞを解くため、「Loveって、何んですか」と聞く私に、「愛だよ」という。「愛って何んですか」と、重ねて聞いてみた。「お互いに愛がないと近づけないでしょう。友達をつくるのも愛だよ」と、いろいろな愛について教えてくれた。そして、ブルーの絵柄のカップで紅茶を出してくれた。くどいようだけれど、「この絵柄はどんなメッセージが込められているんですか」と開いてみた。「男と女を富本風にデザインしたんだよ」と言う。富本さんが追い求めている『愛』というテーマに、何んだか、すごく幸せな気分になってしまった。
 今、富本さんは壷作りに夢中だという。寛大な気持ちで、スケールの大きな作品を目指している。美をもてあそぶ余裕ができたら、面白いなあ…と、富本さんを眺めながら、「がんばれ!!」とエールを送った。
(赤井伸衣)