海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
陶芸家 中塚奈美さん 前田亜希子さん ちょっとおじゃまします
 「常滑では珍しく、染付(磁器に呉須と呼ばれる青の顔料で絵付をすること)をしている女性がいる」と、紹介され、心地よい春の柔らかな風に誘われ、ぶらりと出掛けた。
 彼女とは、知多市在住の前田亜希子さん。どこか、マイペースでロが合えばとびっきりの笑顔を返してくれる。そして、「私、中国茶に凝っているんですよ」と言い、中国茶を出してくれる。彼女にとって、常滑は以前よく訪ねた町だった。だから、焼き物にも幼い頃から親しみがあった。陶芸を始めたきっかけを聞いてみた。「やっぱり、絵が好きだったから」と、いう。絵が好きで、デザイン科に進んだ。染付の勉強に瀬戸の陶房を訪ねた。3年間学んだ。その後、常滑に工房を持った。
 「初めて、人物を描いたんです」と、見せてくれた。魔女をデザインしたポットだった。やさしい、可愛い、そして清楚な趣。そんな言葉がピックリだった。豊かな幸福感に浸ることができる。フリーハンドで描くレンゲのカップは個性的でチャーミングな印象を受ける。レンゲは彼女が最も得意とする花であり、「好きな花だからこそ、自由に描ける、自信がある」と、パワフルに話してくれた。幾何学模様の湯呑は、なんとも美しく感じる。その魅力に迫ってみよう、そう思わせる作品が棚に陳列されている。その棚は、誰の目からも隠された工房内にある。なぜなら、まだ作品は展示・即売はされていないからだ。
 「多くの人に出逢い、もっと話す機会に恵まれ、陶芸を楽しむ余裕があってもいいかなあ」と、いう。体の不自由な人、お年寄りにも思いやりのやさしさがたくさん詰まった作品を心掛けていきたい。その思いは、彼女の笑顔からもくみ取ることができる。今後が楽しみな期待のニューヒロインが、また常滑に誕生した。
(赤井伸衣)