海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
 工房はギャラリー共栄窯の貸工房内にある。「工房は暑いから」といって、自宅に案内してくれた。仏壇にビールが置いてあった。十数年前に亡くなったご主人と、今日は一緒に晩酌をするという。大好さだったご主人と過ごす愛しい一時だ。これは、田川さんの日課となっている。仏壇横には、お気に入りの作品が並べられていた。小さな空間にキラッと光る作品。陶芸を始めた当初から現在までの作品だ。
 陶芸は五十を過ぎてから始めた。また一つ、また一つと作品が出来上がる面白さにハマリ、住まいも常滑に引越し、本格的に始め、ガス窯まで購入した。常滑は生まれ育った新潟に似ていて、ホッとするという。多くの発表の場があり、個性を引き出してくれる人がいる。多くの仲間もいる。なぜか、出川さんを訪ねてくる人は多い。これは、「土が呼んだプレゼントだ」と、田川さんはいう。ろくろを回している音を聞いていると、自然と心がほぐれていく。最も、贅沢な時間だという。田川さんは、「初めてコーヒーカップを購入した時の、衝撃的な感動を購入者が感じ、そして、毎日使ってくれる作品を提供することが夢だ」と話す。どうやら、その夢は現実のものとなってきている。田川さんの作品は、素朴さがいいと女性に支持されている。
 見て!見て!と言わんばかりに、ダンボールから作品を取り出した。白地に和紙を使い、淡いブルーの花が美しい皿・湯呑みのセットだ。「これ、小学校の時の先生に贈ろうと思ってねぇ。私、今だにお世話になっているの」と、作品を説明しながら、柔和な瞳がいたずらっぼく笑った。本当に、かわいい人だと思う。
 内面がされいだから、美しい。自らが価値ある存在として、たくましく生きている。常に笑みをたやさず、喋る。そして、秋風とともに解放感が胸にしみる。田川美智子さんという人物は、何事にも情熱を持って取り組む女性にとって、魅力的な女性に映る。
 私が受けた田川さんへの思い、驚きを一人でも多くの人が感じてくれるのであれば、幸いだ。
(赤井伸衣)