海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
 ホームパーティーで一風変わった青年を発見。風貌は今風の若者、一人でチビチビとビールを飲み干していた。物思いにふけるというロマンチックな表現よりは、ボッーとしてたという表現の方が適切だ。素顔はお茶目で微笑ましく、ユーモアに溢れ、とてもハッピーな方であった。彼の名は長谷川正治さん、常滑に来て2年、自らを引きこもりの生活という。そして、「俺は自分が好き」と自賛する。ちょっと、理解しがたい人物でもある。
 埼玉県出身の彼は、常滑には焼き物を通して横のつながりがあるという。そこが、常滑の良さであると話す。その中の一つがホームパーティーであったり、生涯出逢えない人との出逢いがあったり・・・と無数の出逢いがある。これはとても刺激的で、案外楽しいことにも気づくという。「エッ!これが焼き物?」と、思わせるようなオリジナリティーの強い作品が彼の持ち味である。土と石のハーモニーで生まれる食器は、なかなか面白い趣向を持ち、いい感じのさばけ具合を持った作品となっている。いろいろと聞きたがる私の質問に、「魅力があるからこそ、陶芸をやっている。陶芸をやっていれば俺は満足。こだわりのないのが、こだわり。常に変化を求めている」と、意地悪な返事ばかりをする。困り果てる私に「お客様の感性で自由に感じてくれればいい」と言う。寛大な心の持ち主なのか、ただの意地悪なのか、さっぱり、わからない。
 最後に、「本当は音楽をやりたかったんだ。歌、ギター、ベースとかね」と、ボソッと話した。音楽への未練の塊なのか、工房内は数えきれないくらいのCDが置かれている。CDの横にはコンロと鍋が置かれ、薄暗いロフトは寝室である。工房内が彼の生活の場でもある。
 彼にお酒が入っていたので、わがまますぎるお願いをしてみた。「タイトルはニューヨーク、私にお抹茶茶碗をプレゼントして!!」と。どんな返事がくるのかドキドキしていたが、あっさり、「いいよ」と。交渉成立。そのお抹茶茶碗は1ヶ月後に私の手元に届く予定である。やっぱり、彼は寛大すぎる心の持ち主であった。
(赤井伸衣)