海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
元気のでてくることばたち 村上信夫NHKアナウンサー

五感を取り戻した節電生活
 アフロヘアで一躍有名になった元朝日新聞記者の稲垣えみ子さん。
 1965年、愛知県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、朝日新聞社に入社し、大阪本社社会部、週刊朝日編集部などを経て論説委員、編集委員を務め、今年1月退社した。東日本大震災をきっかけに始めた自らの節電生活のコラム記事が大きな反響を呼んだ。

 家で電気を使うのは、電灯とパソコンとラジオ。あとは携帯電話の充電くらい。電気代が月に二〇〇円とはすごい。
 よくそこまで思い切って家電製品を捨てられたものだと、ため息まじりに聞くと、「すべて必要だと思い込んでいましたが、なくしてみると、かえって家事の時間が短縮できたり、面倒くささがなくなったり、部屋がすっきりしたり、いいことばかりでした」と明快な答えが返ってきた。
 最初に捨てた家電製品は、掃除機。そうしたら掃除が好きになったそうだ。「私は掃除が嫌いなんじゃなくて、掃除機が嫌いだったんですね。あの不快な音、からまるコード、出し入れの面倒くささが嫌いだったんです。箒ならササッとすぐ掃除できます。部屋にぶら下げておいてもかわいいんですよ」
 電子レンジも、冷凍ご飯の温めと豆腐の水切りくらいにしか使っていなかったことに気づいて、蒸し器で蒸したらご飯がふっくらしてとってもおいしい。電子レンジを使ってきた数十年が、すごく損をしてきたように感じた。
 「何もない時代の人の知恵はすごいです。この高温多湿の国で、腐らない味噌や醤油などを作ったりと、長い年月をかけて培い、積み上げてきた知恵や文化をこの数十年の間で投げ捨てようとしている感じがします」

 「家電を捨てると、自分の暮らしのサイズが見えてきます。例えば、冷蔵庫があると買いだめができるので、自分が一日に食べる量や何が必要なのかわからなくなる。冷蔵庫がなければ、その日に食べるものしか買わないので、この程度の食べ物で生きていけるとわかります。自分の身の丈がたいしたことはないとわかれば、欲もなくなります」
 稲垣さんは節電を楽しんでいる。便利なものをやめたことで、自己能力を開発している感覚がある。冷暖房をやめたら、夏の風の涼しさや冬の日差しの温もりを感じるようになった。昔の人も、夏は簾や打ち水をしたり、冬は火鉢で火の温もりを感じたり、五感を大切にしていた。いまは自分だけ涼しくするためにエアコンをつけ、室外機から熱風を出して外を暑くして、結果、熱中症になっている。
 ものすごく寒い中で、火鉢を使っていると、心にポッと火がともるような贅沢感とか、自分の中から資源を発掘している感じだという。シフトダウンして、逆に芽生えてきたものが多いのだ。

大看板を降ろして見えてきたもの
 朝日新聞社という大看板をなくしたことへの不安も全くないと言い切る。
 「看板というより、会社の中では評価されたいとか、役に立ちたいとかいう気持ちは強かったですが、大阪から高松支局に行ってから少し変わった。有り体にいえば、地方に飛ばされたわけですよね。でも獲得していくことばかりを目指していると、年をとったときにみじめな気持ちになるなと思って、その頃からギアチェンジをしました」
 サラリーマンには理不尽な人事もある。そこで、文句ばかりいうか、そこを乗り越えるかが分かれ道。
 買いたいものや欲しいものがない地方都市で、お金を使わずに楽しめる山歩きが好きになった。お金がなくてもハッピーになれる生き方ができるようになって、お金と自分の価値観が切り離されたとき、会社に何かを求めることはなくなった。「会社の評価のためじゃなく、やるべきことをやろう」と。
 人と繋がるために生きていきたいと思うようになった。
 「本来、仕事とは人を喜ばせる行為で、創造的で心躍る行為です。人を喜ばせるために真剣になるから仕事は面白いんです」
 「記者は名刺一枚で誰にでも会えると思ってきましたが、むしろ逆。新聞記者の看板を背負っていたら会えなかったという人に、たくさん会えました。近所や銭湯で会う人など、いままでなかった人間関係が広がって、そういう縁は大事にしていきたいと思っています」
 自分が生きていくことには、まったく不安はないが、じつは予想していなかった落とし穴があったらしい。本を出したら、今度は自分が社会や世間から評価されたいという欲が出そうなのだという。「会社の評価なんて、うまく立ち回れば何とかなります。でも社会に評価されるということは、とてつもないこと。そういう欲にからめとられないように、気をつけようと思っています」
 それにしても、アフロ効果は抜群らしい。アフロにしてから、人生が好転したらしい。「まさかのモテ期」に入ったらしい。居酒屋で、見知らぬおじさんがおごってくれる。ナンパされたことも1度や2度ではない。同性からも気軽に声を掛けられる。「世の中は、無限の親切に満ちているかも」と思っている。50歳、夫なし、子なし、定職なしだが、希望でいっぱいだ。

■村上信夫プロフィール
2001年から11年に渡り、『ラジオビタミン』や『鎌田實いのちの対話』など、NHKラジオの「声」として活躍。
現在は、全国を回り「嬉しい言葉の種まき」をしながら、文化放送『日曜はがんばらない』(毎週日曜10:00〜)、月刊『清流』連載対談〜ときめきトークなどで、新たな境地を開いている。大阪で『ことば磨き塾』主宰。
1953年、京都生まれ。
元NHKエグゼクティブアナウンサー。
これまで、『おはよう日本』『ニュース7 』『育児カレンダー』などを担当。著書に『嬉しいことばの種まき』『ことばのビタミン』(近代文藝社)『ラジオが好き!』(海竜社)など。趣味、将棋(二段)。

http://murakaminobuo.com


「元気のでてくる"ことばたち"」
(近代文芸社)
1,500円(税別)
おなじの腕まくり「おやじの腕まくり」
(JULA出版局)
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「言えなかったありがとう」
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■イネ・セイミプロフィール
フルート奏者として活躍中。俳画家。
絵画を幼少より日展画家の(故)川村行雄氏に師事。俳画を華道彩生会家元(故)村松一平氏に師事。俳画の描法をもとに、少女、猫等を独自のやさしいタッチで描いている。個展多数。

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 ところ:常滑屋
 と き:月2回 第2、4金曜日 午後1時〜3時
 会 費:1回 2,250円(3ヶ月分前納制)
 問合せ:0569−35−0470

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