海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
元気のでてくることばたち 村上信夫NHKアナウンサー

目の曇りは心の曇りに通ず!?
 大桃さんは白内障と緑内障を同時に患った。48歳のとき、手術をして右目に人工レンズを入れた。人工レンズにはピントを合わせる調節力がないので、左目にがんばってもらっているらしい。
 年齢的にまだ早すぎると、少なからずショックだった。ストレスがたまると体の錆びが進んでしまう気がして、仕事をがむしゃらにするのはやめようと考えさせられた。これからは、仕事も人生も自分が好きなことをしていこうと思った。

 彼女が仕事するには、三つの目的があった。一つはこの仕事を継続していくため、二つ目は自分の勉強のため、三つ目はお金をもらうため。だが、病気をしたことで、お金は少なくてもいいから、自分のためになる仕事をしたほうが後半の人生が楽しくなると考えた。目を患ったことで、それに気づかせてもらった。一度立ち止まって、自分を振り返る機会が与えられたと思っている。
 目の曇りは心の曇りに通じるとも思った。「肩こりがひどく、整体に行くと先生から肩肘を張って生きているねえと言われていました。それで、目が曇って見えるということは、自分の目にフィルターがかかっていて、どこか偏った見方をしているところがあるのかもしれないと思ったんです」。

父の壁がなくなった
 1965年新潟県生まれ。情報番組をはじめ、料理、クイズ、バラエティーと、幅広い分野で活躍している。雑穀アドバイザー、内閣府・災害被害を軽減する国民運動サポーターなども務めている。
 いまでこそ、父は大桃さんの活躍に目を細めているが、若き娘に対しては、ことあるごとに壁になってきた。勤めていた銀行をやめると言ったときは、勘当するとまで言われた。芸能界に入るときも大反対された。「兄は真っ当な常識人でしたが、私は、親の意見を聞かずに、わが道を行くタイプだったので、家族の中では異端児でした。母からも堅気じゃないと言われてました」。
 「でも、あとになってみると、親の言うことって正しいなとわかります。親は子どものことをいちばんわかっていますからね。ブレーキ役の親がいるから、子どもは暴走せずにうまく走れる。年を重ねた分、なんでも批判するだけじゃなく、そういう考え方もあるよねと思えるようになりました」


 2004年の10月、たまたま新潟の実家に帰っていたときに中越地震に遭遇した。故郷が崩壊した姿を見て、人生観が変わった。
 幼い頃から、父が農業している姿を見ていても、ぜんぜん興味が持てなかったのに、農業を通して、ふるさとが復興する姿を伝えていけたらいいと思った。
 古代米を作り始めた。名づけて「大桃米」。5月に田植えをして、9月に刈り取るまでの間、新潟に足しげく通っている。
 メディアの仕事は手応えこそあれ、仕事が終わればそれでおしまいだが、農業はやればやるだけ返ってくるものがある。テレビが「虚」の世界だとしたら、農業は「実」の世界だと感じた。
 中越地震では、地域のコミュニティーの重要性を実感した。世代間の交流のある地域は、絆が強く、基盤がしっかりしている。地域が生き残っていくかどうかは、地域のコミュニティーがちゃんと機能しているかどうかにかかっていると思った。大桃さんの田んぼは、子どもや地域の人もいっしょに農作業をできるようにしている。農業体験を小さいときの楽しい記憶として、刷りこんでいくことも大事だ。
 「彼らがいつか大人になったとき、そういえば地域のお母さんたちがいろいろやってくれたな、僕たちは地域の人たちに愛されていたんだと思い出すはずです。そこから、いつか地元に戻りたいと思う気持ちも生まれてくるような気がします。次の世代に伝えていかなければいけないことがたくさんあると思います」
 大桃さんは、農業の可能性は広がっていると指摘する。2050年までに世界の人口が90億人になるといわれているので、食糧不足は必ず起こる。そうなれば外国からの需要も増える。いまから農業の力をつけておけば、大きなビジネスチャンスがくる。
 「U ターン」や「I ターン」で、地方に移り住み農業に取り組む若者も増えている。通常は出荷できない規格外の農作物を、独自のシステムで販路を広げ、流通させる仕組みを考え出している若者もいる。
 「私も、瀬戸内海の島で若者が作ったみかんと、新潟のお米を物々交換するつなぎ役として動き出しているんです。お金は介在しませんが、お互いの地域ではとれないものなので、そういうやり方もいいなと思っています」。
 農業をやり始めて8年。かつて、ことごとく対立していた父からアドバイスをもらっている。「農業の技術って口伝なんですよ。父から教わることが、どれほど役に立つことか」。波風立てずに、折り合いをつけていく大人としての処世術が身についてきたのかもしれない。力みが消えて、柔らかくなった。
 大桃美代子さんと初めてお会いしたのは、20年くらい前のことだ。利発なタレントさんという印象だった。その後、地震にも遭遇し、目の病気にも罹った。それら、すべてが佳き年を重ねることに繋がっている。目のつけどころ、目の向ける方向が「地域の未来」を意識したものになっている。大きな桃に育っていると思った。

■村上信夫プロフィール
2001年から11年に渡り、『ラジオビタミン』や『鎌田實いのちの対話』など、NHKラジオの「声」として活躍。
現在は、全国を回り「嬉しい言葉の種まき」をしながら、文化放送『日曜はがんばらない』(毎週日曜10:00〜)、月刊『清流』連載対談〜ときめきトークなどで、新たな境地を開いている。大阪で『ことば磨き塾』主宰。
1953年、京都生まれ。
元NHKエグゼクティブアナウンサー。
これまで、『おはよう日本』『ニュース7 』『育児カレンダー』などを担当。著書に『嬉しいことばの種まき』『ことばのビタミン』(近代文藝社)『ラジオが好き!』(海竜社)など。趣味、将棋(二段)。

http://murakaminobuo.com


「元気のでてくる"ことばたち"」
(近代文芸社)
1,500円(税別)
おなじの腕まくり「おやじの腕まくり」
(JULA出版局)
1,400円(税別)
「言えなかったありがとう」
好評発売中

■イネ・セイミプロフィール
フルート奏者として活躍中。俳画家。
絵画を幼少より日展画家の(故)川村行雄氏に師事。俳画を華道彩生会家元(故)村松一平氏に師事。俳画の描法をもとに、少女、猫等を独自のやさしいタッチで描いている。個展多数。

* 俳画教室開講中
 ところ:常滑屋
 と き:月2回 第2、4金曜日 午後1時〜3時
 会 費:1回 2,250円(3ヶ月分前納制)
 問合せ:0569−35−0470

イネ・セイミ

 インディアンフルート教室開講しました。
誰でもすぐに吹けます
入会受付中!!

 講師 イネ・セイミ
《フルート奏者 指導歴30年》
1レッスン・1時間5,000円
(ティータイム付)

申込み・お問合せ
seimiine@oasis.ocn.ne.jp


 何か始めたいと思っている貴女へ。
数年後、素敵にフルートを奏でる姿が
そこにあります。
楽しく個人レッスン致します♪