海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
元気のでてくることばたち 村上信夫NHKアナウンサー

第一印象は、上昇志向の強い人
 今をときめく書家の紫舟さん。
 NHK大河ドラマ『龍馬伝』や美術番組『美の壺』の題字を始め、伊勢神宮の遷宮では全国の神社に紫舟さんの書いた「祝御遷宮」の旗が飾られた。その作品は書道の域に留まらず、まさにアートだ。

 紫舟さんには、日本の文化を世界に発信していきたいという思いがある。例えば、ハリウッド映画の題字を書いて、日本の書画が世界中に配信されるきっかけになったらいいと思っている。新しい表現手段として、書とアニメーションを融合させたデジタルアートの展示会も、何回となく開いている。
 紫舟さんにN H K ラジオでインタビューしたのは、七年くらい前だ。打ち合わせの時、自分の作品の説明や、将来の夢を熱く語る姿を見て、上昇志向の強さが、いささか気になった。そこで、僕はインタビューする前に自分の思っていることをふだんは明らかにしないが、あのときはいつも言わない一言を、本番直前にあえて言った。「今からあなたのいいところをいっぱい引き出しますよ」と。
 結果的に、紫舟さんのいい人オーラ¢S開の内容になった。上昇志向の強さが前面に出過ぎてリスナーが引いてしまわないよう、僕なりに作戦を立てたつもりなのだ。

正しい書家人生とは!?
 書家としての処女作が「正」という字だ。正解の「正」ではなくて、まわりの人が正しいと言われることでも、自分は違うと思うことを意味した「正」だ。だから逆向きの「正」。常に、人とは違う自分の「正」を出したいと考えている。東京に来てから、自分の「正」を口に出すことが許されるようになった気がする。それまでは、すでにあるものを真似して創ることを求められていたが、東京という街では新しいものや、まだ見たことのないものを求めていることがわかった。「私はサムシング・ニュー≠フクリエイティブをすることが楽しい」東京は、モノを創る人間には生きやすい街だ。

 紫舟さんは6歳から取り組んできた書道から、いったん離れた時期があった。会社勤めをしたあと、また書の世界に戻ってきた。「実は、書家宣言した自分に自分で驚いたくらいなんです。昔から書道はやらされている感があって、楽しくやっていたわけではないのに、結局、たどりついたのはやはり書で、両親も私も驚きでした」「でも、ずっと書を続けていたら自分を見失っていたと思います。だから一旦辞めてよかったんです」。

そして、未来からの流れ
 書家になる前は、流れを無視して逆らったり闘おうとしたり、抗い続けていた。今はどんどん展開していく流れに身を任せている。彼女は、ふと、こんなことを口にした。
 「私、あんまり過去は振り返らないんです。過去の蓄積があって今があるというより、時間というものは未来から流れてきて今があると感じているので」
 「ときどき過去の引き出しを開けて楽しんだり苦しんだりする人もいますが、私は過去って幻想だと思っています。過去にウエイトを置いて物事を見ることもしません」
 「自分が望んでいなかった道に進んでしまい、抗い続ける人生を送る人っているでしょう。自分が希望していなかった道でも、あとで、ここにたどりつくためには、その道でなければならなかったとわかることがあります。そうすると、未来から時間が流れていて、なるようになっているんじゃないかと考えられるわけです」。
 なるほど。未来という言葉を「定め」と言い換えてもよさそうだ。時間が未来から流れてきて、人生はなるようになっていくということか…。深い。
 そういえば、僕も、NHKアナウンサーという肩書きと入れ替わるように、「うれしい言葉の種まき」という文字がはっきりくっきり脳裏に浮かんだ。これがおまえの使命だと神様から教わったような気がした。未来からの流れだったのかもしれない。

 「伊勢神宮の遷宮にあたり、依頼をいただいて祝御遷宮≠ニいう書を奉納させていただきましたが、それが自分のやるべき役割だったのではと感じることがあります。一つの大きなものに至るために、そのルートをたどったと思えることがたくさんあるんです」。
 「遷宮があることを知らなかったくせに、いつか伊勢神宮のお仕事をするんじゃないかと思っていたので、長期に渡り時間を取られるようなお仕事はお断りしてきました。伊勢神宮に行ったこともなかったし、ご遷宮も知らなかったのに、ご依頼をいただいたときには、あ、本当に来たと思いました」
 紫舟さんは、デジタルアートを創ることも、伊勢神宮などのお仕事をすることも、複数の道を並行してたどりながら、何か大きなものに行き着くような気がしている。

 紫舟さんは、質問に答えるとき、いろんなことばがうごめき、悩むようだ。ようやく口から出てきたことばは、時として『紫舟語』となる。その紫舟語を咀嚼しようと、対談は真剣勝負だった。結果「未来からの流れに逆らわず生きている」ということばが引き出せた。
 初対面のとき「ハリウッド映画の字幕を書きたい」という彼女を「上昇志向が強い人」と受け止めたが、未来からの声を聴いているわけだから、それも、ほんの通過点。もっともっと先を見据えているのだ。

■村上信夫プロフィール
NHKチーフアナウンサー
1953年、京都生まれ。
明治学院大学卒業後、
1977年、NHKに入局。
富山、山口、名古屋、東京、大阪に勤務。
現在は、「今日も元気で!わくわくラジオ」(ラジオ第一8:35〜)、
「BS将棋中継」などを担当。
これまで、「おはよう日本」「ニュース7」「育児カレンダー」などを担当。
教育や育児に関する問題に関心を持ち続け、横浜市で父親たちの社会活動グループ
「おやじの腕まくり」を結成。
趣味は、将棋。
著書に「元気のでてくることばたち!」(近代文芸社)
「おやじの腕まくり」(JULA出版局)
「いのちの対話(共著)」(集英社)
「いのちとユーモア(共著)」(集英社)

「元気のでてくる"ことばたち"」
(近代文芸社)
1,500円(税別)
おなじの腕まくり「おやじの腕まくり」
(JULA出版局)
1,400円(税別)
「言えなかったありがとう」
好評発売中

■イネ・セイミプロフィール
フルート奏者として活躍中。俳画家。
絵画を幼少より日展画家の(故)川村行雄氏に師事。俳画を華道彩生会家元(故)村松一平氏に師事。俳画の描法をもとに、少女、猫等を独自のやさしいタッチで描いている。個展多数。

* 俳画教室開講中
 ところ:常滑屋
 と き:月2回 第2、4金曜日 午後1時〜3時
 会 費:1回 2,250円(3ヶ月分前納制)
 問合せ:0569−35−0470

イネ・セイミ

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《フルート奏者 指導歴30年》
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