海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
元気のでてくることばたち 村上信夫NHKアナウンサー

横浜が私の魂
 俳優の余貴美子さんは、横浜生まれ横浜育ちで、横浜をこよなく愛している。結婚するまではずっと横浜に住んでいた。今は東京に住んでいるが、どうしても足が向いてしまうという。
 「地元愛が強いから、磁場のような感じ。地元の方たちとは小さい頃から家族同様のおつきあいをしてきたので、安心感もあるんです」。
 「横浜は外国人も多く、異なるものを受け入れておもしろがる気質がある。そのせいか個性的な方に多く出会えたのが、女優になってから役立ったと思います」。

 1956年、台湾出身の父と、日本人の母との間に生まれた。親類も一緒の大家族で育った。みんなそれぞれ商売をしていたので、いろんな人が常に出入りする家で育ったせいか、人見知りしない子だった。高校生のころ、「浜のマリア」と呼ばれていた。
 生活習慣は、日本の友人たちとは異なった。誕生日といえばソーメンとゆで卵。「周りの友人たちはケーキで祝ってもらえるのに、ガッカリしたもの(笑)」。細く長く、角を立てず丸くおさまるようにという願いが込められていた。特別な日に食べるものはその意味合いが重視されていた。昔からのしきたりや言い伝えを大切にしていた。
 先祖もすごく大事にしていた。「私も幼い頃から、祈るという習慣が身についていて、今でも毎朝ご先祖さまのお仏壇に手を合わせ、帰宅したときもまっ先にお参りします。先祖の誰一人欠けても自分は存在しないと思うので、先祖を敬うのは自分自身を戒めることでもあるんです」。

平坦ではなかった役者道
 人気ドラマ『サインはV』で、ジュンサンダース役を演じた范文雀さんは、父方の従姉妹。身近に役者がいたので、芸能界への憧れが多少あったのかもしれない。
 高校卒業後、就職先には外資系の銀行が決まっていた。演劇好きの友人に付き合ってオーディションを受けたら、演劇の舞台すら見に行ったこともなかったのに、余さんだけが合格した。

 1976年、「自由劇場」というアングラ小劇場に入った。70年代のアングラ劇団には風変わりな人がたくさんいた。殺人鬼の心情を理解するために生き物を殺してみたり、棺おけに入ってみたりする人もいた。「ブス!デブ!死ね!」となじられ、人格否定は日常茶飯事だった。そんな中、仲間たちとジャズ喫茶にたむろして演劇論を戦わせるのが楽しかった。
 1986年、仲間たちと劇団「東京壱組」を旗揚げする。劇団を立ち上げたものの、仕事は全く無かった。とにかく貧乏だった。仕事を取るためにプロダクションを設立した。自分たちでデモテープを作って、テレビ局に売り込みに行った。間借りしているプロダクション同士で、仕事のやりくりをしていた。そうこうしているうちに、今の事務所の社長の目にとまり、ようやく映画出演のチャンスを手にしたのだった。
 映画のオファーが舞い込むようになってからの活躍は目覚しい。『学校L』でブルーリボン助演女優賞、『兄弟』でギャラクシー個人賞、『ホテルハイビスカス』でヨコハマ映画祭助演女優賞、『おくりびと』で日本アカデミー賞助演女優賞、『ディア・ドクター』で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞…個性的な映画監督との出会いによって触発され、演技を磨くことが出来た。
 女優に開眼したと感じたのはいつかと問うと、「まだ開眼していない。役者としての自分に対する疑問は常につきまとっている」という答えが返ってきた。「だめだぁ〜」が口癖で、おおらかに見えるが、意外に心配性でもあるようだ。

ずっと前からその人
 それにしても、底抜けの明るさから、底なしの暗さまで。包み込むような優しさから近寄りがたいこわもてまで。殺人犯から陽気なシングルマザーまで。妖艶な美女から化粧気のない市井の女性まで。あらゆるタイプの女性の人生を演じ分けている。
 違う人間を演じるおもしろさが俳優の魅力とはいえ、余さんはどの役になっても、かりそめにその役をやっているのではなく、ずっと前から「その人」だったように感じさせる。
 「演じる時は、私とはまったく異なる人になるので、その人のことについて深く考えます。でも違う人になるというのは楽しいものです。人間というのは謎だらけで、人間そのものに興味があるからやってこられたのかもしれません」。

 余談だが、対談を終えて帰りがけ、真っ先にエレベーターホールに飛んで行き、ボタンを押してエレベーターを呼び、何度もおじぎをしながら見送ってくれた。この気働きに、人柄の良さが滲み出ている。
 有りる才能をあるように見せない裕。人をもって変えがたい役柄が多い。話題も豊富で、持てすことがない。りにもときめくことが多い。それがさんのさんたるゆえんだ。

■村上信夫プロフィール
NHKチーフアナウンサー
1953年、京都生まれ。
明治学院大学卒業後、
1977年、NHKに入局。
富山、山口、名古屋、東京、大阪に勤務。
現在は、「今日も元気で!わくわくラジオ」(ラジオ第一8:35〜)、
「BS将棋中継」などを担当。
これまで、「おはよう日本」「ニュース7」「育児カレンダー」などを担当。
教育や育児に関する問題に関心を持ち続け、横浜市で父親たちの社会活動グループ
「おやじの腕まくり」を結成。
趣味は、将棋。
著書に「元気のでてくることばたち!」(近代文芸社)
「おやじの腕まくり」(JULA出版局)
「いのちの対話(共著)」(集英社)
「いのちとユーモア(共著)」(集英社)

「元気のでてくる"ことばたち"」
(近代文芸社)
1,500円(税別)
おなじの腕まくり「おやじの腕まくり」
(JULA出版局)
1,400円(税別)
「言えなかったありがとう」
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■イネ・セイミプロフィール
フルート奏者として活躍中。俳画家。
絵画を幼少より日展画家の(故)川村行雄氏に師事。俳画を華道彩生会家元(故)村松一平氏に師事。俳画の描法をもとに、少女、猫等を独自のやさしいタッチで描いている。個展多数。

* 俳画教室開講中
 ところ:常滑屋
 と き:月1回 第2金曜日 午後1時〜
 会 費:1回 2,500円(4ヶ月分前納制)
 問合せ:0563−32−0583

イネ・セイミ

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