海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
元気のでてくることばたち 村上信夫NHKアナウンサー

 自らを「ニュースの職人」と呼ぶジャーナリストの鳥越俊太郎さん。
 新聞記者、週刊誌編集長、テレビ報道番組キャスター、渡り歩いてきた道のモットーは、徹底した現場主義だ。
 6年前に「大腸がん」にかかってからも、自らの病気を「現場」として客観的に見つめたリポートを『がん患者』という本にまとめ、同じ病気の人達を励ます一助としている。
 この3月で72歳になるが、がんになる前より"健康"になり、3倍忙しくなった。転移したがんのため、6年間に4回手術した人とは思えない。『がん患者』の表紙は、上半身裸。鍛えられた肉体。70から始めた筋トレの成果だ。

ニュースの職人魂
 がんの進行度は、末期の「ステージM」。当初、他の臓器への転移がないステージKだったが、他の臓器への転移が認められたためステージMになった。ガンは左肺(07年1 月)、右肺(07年8月)、肝臓(09年2月)に転移した。
 「5年生存率20%」の第一関門を迎えるには、2014年2月を乗り越えなくてはならない。「執行猶予」状態だが、自分はついているから大丈夫と確信している。高校も大学も就職も1つしか受けず、すべて突破したから、自分は「ついている」という信念があるのだ。とはいえ、命には限りがある。残された命との闘いの日々でもある。
 がんと判明し、ひとつの決断をした。
 自分ががんになったということは、遠い存在だったがんを知る絶好の機会だ。自分のことだけに密着取材出来る。「取材者・鳥越」が、「ガン患者・鳥越」を徹底的に観察し記録しようと決意した。親しいディレクターに「くたばるまで、記録してほしい」と依頼した。一部始終を記録するしかない。それが25歳からの自分の仕事だったから。
 出来るだけ「現場」で、出来るだけ「本音」を知りたい思いが根底にある。「現場で情報を仕込み、経験に支えられた直感から判断し、心の栄養素となるニュースを提供するのが、自分の役目だ」とニュースの職人魂が言わしめる。

 1940年、福岡生まれ。5人兄弟の長男だが、幼いころは、「泣き虫の俊ちゃん」と呼ばれた。努力が嫌いな怠け者で、飽きっぽい性格だった。あまのじゃくでもあったが、それは、人と違う考え方が出来るということでもある。マイナスもプラスに変えるスーパーポジティブにもつながる。
 人前に立つと震えて話せなかった。教室で指名されて本を読むのが嫌だった。大学時代、合唱団のマネージャーとなり、自分を人前に立たせることで、震えを克服した。しかし、細く弱い神経だからこそ、相手の立場にたった取材が出来るとも思う。インタビューする時には、人の痛みや悲しみを汲み取ることが大切と肝に銘じている。相手と同じ立場で、何を聞いてほしいのか、何を言いたいのか直感的にわからないといけない。
 ジャーナリストに不可欠なものに、3つの「観」(ものの見方)があると考えている。
 まず「歴史観」自分なりの統一した見方を持ち、目前の出来事を歴史の流れの中でどう位置づけるか考えること。次に「人間観」喜びも悲しみも背中合わせの人間についての観察力を養っておくこと。そして「比較文化観」文化に絶対性はない。異文化の比較観察が出来る力を持つこと。鳥越さんも、常にこの3つの「観」を意識してきた。

死に方 生き方
 中学生の時、墓場で遊んでいて、偶然、骨壷の中の白骨を見てしまった。「人間、最後はこうなるんだ…」と無常を思ったが、限りある中で、自分にしかない自分だけの人生を歩みたいと思い直した。鳥越さんの、いつも座右にある言葉に『人間(じんかん)到るところに青山あり』がある。青山は墓所という意味だ。人間、どこにいても死に場所を見つけられると考えている。
 自らのエンディング・ノートを書いた。
 「臨終の枕元には、大音量でオスカーピータソンのジャズピアノを流してほしい。葬送の音楽は、ショパンのポロネーズがいい。墓も戒名もいらない。棺の中は、真赤なバラで飾ってほしい。通夜の料理は、赤ワインとぜんざいがいい」粋な生き方をしてきた鳥越さんらしいエンディングデザインだ。
 一方で、「鳥越俊太郎・創立70周年事業」は順調だ。「古希」を迎えて、未知なことが山ほどあることに気づいた。「肉体年齢は70歳だが、気分は18歳の青春真っ只中」という実感がある。「人生、単線はつまらない。複線、複々線でいかないとね」。
 「筋トレ」のため、週3日ジムに通う。「体育会系スポーツしたことがなかったので、へなちょこ筋肉が鍛えられた」。「社交ダンス」も復活させた。憧れの女優とタンゴを踊ってみたい。出来ることなら、「映画」を1本撮ってみたい。志あるマスコミ人を集めて鳥越塾も作りたい。まだまだ死んでいる暇はない。

■村上信夫プロフィール
NHKチーフアナウンサー
1953年、京都生まれ。
明治学院大学卒業後、
1977年、NHKに入局。
富山、山口、名古屋、東京、大阪に勤務。
現在は、「今日も元気で!わくわくラジオ」(ラジオ第一8:35〜)、
「BS将棋中継」などを担当。
これまで、「おはよう日本」「ニュース7」「育児カレンダー」などを担当。
教育や育児に関する問題に関心を持ち続け、横浜市で父親たちの社会活動グループ
「おやじの腕まくり」を結成。
趣味は、将棋。
著書に「元気のでてくることばたち!」(近代文芸社)
「おやじの腕まくり」(JULA出版局)
「いのちの対話(共著)」(集英社)
「いのちとユーモア(共著)」(集英社)

「元気のでてくる"ことばたち"」
(近代文芸社)
1,500円(税別)
おなじの腕まくり「おやじの腕まくり」
(JULA出版局)
1,400円(税別)
「言えなかったありがとう」
好評発売中

■イネ・セイミプロフィール
フルート奏者として活躍中。俳画家。
絵画を幼少より日展画家の(故)川村行雄氏に師事。俳画を華道彩生会家元(故)村松一平氏に師事。俳画の描法をもとに、少女、猫等を独自のやさしいタッチで描いている。個展多数。

* 俳画教室開講中
 ところ:常滑屋
 と き:月1回 第2金曜日 午後1時〜
 会 費:1回 2,500円(4ヶ月分前納制)
 問合せ:0563−32−0583

イネ・セイミ

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