海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
元気のでてくることばたち 村上信夫NHKアナウンサー

マキノ一家の系譜

 俳優の津川雅彦さんに、最近、映画監督・マキノ雅彦さんとしての顔が加わった。津川さんは1956年16歳の時、『狂った果実』で一躍トップスターになり、二枚目から悪役、コミカルな役と幅広い役柄をこなしてきた。
 そして一昨年、満を持して、『寝ずの番』で映画監督としてデビューした。祖父に「日本映画の父」といわれるマキノ省三さん、叔父に天才といわれ、261本の多彩な娯楽作品を撮ったマキノ雅弘さん。2人の名匠の血筋を引く家に生まれ育った。

 去年は、マキノ一家にとって節目の年だった。祖父・マキノ省三さんが、日本で初めての劇映画『本能寺合戦』を撮って100年。叔父のマキノ雅弘さんの生誕100年。
 津川さんは、中学生の頃、当時一緒に住んでいた叔父から、毎日のように映画の話を聞き、胸弾んだものだ。映画の面白さを刷り込まれ、いつか自分でも撮るのだろうと漠然と思っていた。エンドロールに、マキノ雅彦という字幕が出る気分は悪いはずがない。

命を伝える旭山動物園
 マキノ雅彦監督の最新作(第3作)が、新年早々公開される。実話をもとにした『旭山動物園物語.ペンギンが空を飛ぶ』だ。赤字を抱え閉園の危機に立つ北海道旭川市の旭山動物園が舞台。「夢はいつか叶う」と信じる西田敏行さん扮する園長と飼育係が、一丸となってアイデアを出し合い、動物をありのままに見せる「行動展示」を生み出し、日本一の入場者数を達成した感動の物語に仕上がっている。
 きっかけはNHKのプロジェクトXだった。旭山動物園の動物の見せ方の面白さを「ドキュメント」で見て、この動物園物語を映画化したいと閃いた。2006年1月、民放ドラマの園長役をきっかけに、初めて小菅正夫園長に会い、やはり園長と飼育係達は凄いと思い、その場で映画化の希望を伝えた。行動展示という発想の裏には、尋常ではないプロセスがあるに違いないと思った。
 何回も動物園に足を運んだ。小菅園長、板東副園長、飼育係の人たちとの交流を深め、話を聞くうちに、野生を愛する彼らのユニークな人間性にふれ、この映画のテーマを発見することが出来た。「野生動物は、種を保存するために弱肉強食の本能を貫くが、人間だけは弱い者をも活かすことができる叡智を持つ」。

動物園革命といえる「行動展示」によって活き活きと輝く動物達のすごさと、飼育員達の素晴らしさを描いた。「命の輝き」と「命の平等」を掲げる『旭山動物園』は、アメリカのディズニーランドにも勝る世界に誇るテーマパークだと思った。
 小菅園長は芸を仕込まれた動物は認めない。それは津川さんとて同じ思いだった。動物の自然な表情、動作を撮るために3チームを各地の動物園に貼り付けて1年。1日1カット撮れるかどうかの撮影を重ねた。
 その結果、感動的なシーンが、いくつも撮れた。カロリー制限でエサを制限されたメスのチンパンジーに、オスがエサを檻越しに手渡すシーン。黒ヒョウのジャンプシーン。空飛ぶペンギンのシーンは、撮影日のみ青空だった。
 監督としてのありかたも旭山動物園で教えられた。野生のままの動物が魅力的であるように、役者の発想や個性がどれだけ生かせるかは、監督の責任であり、使命だと。

群像劇で描きたいこと
 第一作は、2006年公開の『寝ずの番』。落語家一家の師匠(長門裕之)、一番弟子(笹野高史)、おかみさん(富司純子)が相次いで亡くなり、寝ずの番の通夜で下ネタ満載の思い出話にふける弟子たち。その中で故人への愛情がにじみ出る物語。
 二作目は、去年の『次郎長三国志』。雅弘監督の代表作をリメイクした。次郎長親分(中井貴一)はお蝶(鈴木京香)と祝言を終えた後、3年の修行の旅に出る。宿敵の黒駒勝蔵との抗争で病に倒れお蝶は死ぬ。弔い合戦に次郎長一家が立ち上がる。次郎長とお蝶の恋物語に、一家の絆が描かれる。
 3作に共通するのは、群像劇。『寝ずの番』は落語一家の師弟愛、『次郎長三国志』も次郎長一家の結束を描いた。そして『旭山動物園物語』は園長と飼育係達のチームワーク。
 人と人の輪が、すごいことを生んでいく。人と人が心を通わせれば、成功と幸せをもたらす「欲得で結びついている人たちもいるが、ボクはそういうものを捨てきった人々の結びつきを描きたい」
 近い将来、マキノ映画の原点ともいえる究極の群像劇『忠臣蔵』を撮りたい。ドラマにチックがつき、ワンダーにフルがつく映画作りを続けたい。

■村上信夫プロフィール
NHKチーフアナウンサー
1953年、京都生まれ。
明治学院大学卒業後、
1977年、NHKに入局。
富山、山口、名古屋、東京、大阪に勤務。
現在は、「今日も元気で!わくわくラジオ」(ラジオ第一8:35〜)、
「BS将棋中継」などを担当。
これまで、「おはよう日本」「ニュース7」「育児カレンダー」などを担当。
教育や育児に関する問題に関心を持ち続け、横浜市で父親たちの社会活動グループ
「おやじの腕まくり」を結成。
趣味は、将棋。
著書に「元気のでてくることばたち!」(近代文芸社)
「おやじの腕まくり」(JULA出版局)
「いのちの対話(共著)」(集英社)
「いのちとユーモア(共著)」(集英社)

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■イネ・セイミプロフィール
フルート奏者として活躍中。俳画家。
絵画を幼少より日展画家の(故)川村行雄氏に師事。俳画を華道彩生会家元(故)村松一平氏に師事。俳画の描法をもとに、少女、猫等を独自のやさしいタッチで描いている。個展多数。

* 俳画教室開講中
 ところ:常滑屋
 と き:月1回 第2金曜日 午後1時〜
 会 費:1回 2,500円(4ヶ月分前納制)
 問合せ:0563−32−0583

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