海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
元気のでてくることばたち 村上信夫NHKアナウンサー

 大河ドラマ『篤姫』を見ていたら、辻に立つ瓦版売りが出て来た。どこかで見た顔だと思ったら、コロッケさんだった。コロッケさん扮する瓦版売りの太助は、黒船で来航したペリーの顔真似をしていた。きっと、当時の瓦版売りも、顔の表情を変えたり、声色を変えたりしていたのではないだろうか。
 もともと、歴史上の人物もレパートリーのひとつだ。淡谷のり子と徳川家康対談も実現させた。とにかく千変万化、動物も入れると、300ネタはあるらしい。コロコロ表情が変わるから、コロッケとなったらしい。庶民の味コロッケのように親しまれる存在でありたいという思いも込められているらしい。

 物まねは暗闇から
 驚いたことに、コロッケさんの物まねは、実は暗闇から生まれる。真っ暗な部屋で、記憶の中の顔を思い出して、イメージを膨らませていく。鼻の下を伸ばしたり、あごを上下に動かしてみたり、上目づかいにしてみたり、ほおを膨らませてみたり、あれこれ試みる。鏡は絶対見ない。
 「目で聞き、耳で見る」という。犬の鳴き声一つでも、目を閉じて耳をすませば、大きいか小さいか、太っているかやせているか、温厚か気が荒いか、いろいろ想像を巡らせることが出来る。
 ふだんから、よく人間観察をしている。「人の振りみて、我が振りにする」。第一印象をインプットする。レパートリーにしようなんて下心があったら上手に物まね出来ない。
 その人に興味を持ち、「すごい!」と感心する。それが物まねにつながっていく。
 コロッケさんの物まねは、似ているようで似ていない。似ていないようで似ている。
 鼻をほじる野口五郎は、あまりにも有名だ。床をのけぞるちあきなおみ、ロボットの五木ひろし、ピップホップ与作の北島三郎…本人がやりそうでやらないことを表現する。本人を知らなくても笑える。みんなが心のどこかで感じていることを形にする。
 その人の個性的な部分を《過大評価》するのだが、真似る対象にオリジナリティーがあってこそのことだ。「本人に対して失礼なことをしている分、やらせていただいているという気持ちは忘れてはいけない」と思っている。極めて謙虚な人だ。

 あおいくまの教え
 1960年、熊本生まれ。幼いころは、おとなしい子だった。一方、姉は物まね上手で弾けていた。姉は、最近ケロッケとしてタレントデビューを果たした。地元で、物まねの出来る介護士を務めている。

 人気者の姉がうらやましかった。姉が中学卒業したとたん、自己規制が取れて、物まねを始めた。初めての物まねは、郷ひろみだった。初恋の人が郷ひろみファンだったから、何とか気を引こうとしたのだ。クラス全員が盛り上がってくれた。それがたまらなく嬉しかった。観客に少しでも喜んでもらいたいというサービス精神の原点になっているのかもしれない。
 反対する家族を説得して上京。タレント修業をして、一九八七年、「ものまね王座決定戦」で優勝した。当時、清水アキラ、栗田貫一、ビジーフォーとともに、《物まね四天王》と呼ばれた。

 母から教わった家訓を今も大切にしている。それは《あおいくま》。
 「あ」は、焦るな。「お」は、怒るな。「い」は、威張るな。「く」は、くさるな。「ま」は、負けるな。落ち込みそうなとき、有頂天になりそうなとき、自分自身への戒めとして大切にしている。幼いころは、毎日、口に出して唱和していた。今でも、紙に書いて、張り出してある。
 エレベーターに乗っていても、最後に降りる。「開」ボタンを押して、人が降り終わるのを待っている。「どうもすみません」と言いながら降りる人から笑顔が生まれる。押しているほうも、いい気持ちになれる。
 本業についても、「僕の芸を見て、家族や恋人の間に会話が生まれる。そんな、人の心のアルバムに残るような存在になりたい」と思っている。「隙間タレントですよ」と自嘲する。「皆さんの生活に、ちょっとおじゃまするような気持ちです」とも。母の教えは、確実に生かされている。
 デビューから25年たって、やっと自分らしさが出てきたという。近い将来、アメリカ進出をして、ハリウッドで仕事したいと思っている。向こうの人の物まねではなく、「日本」を紹介する芸で勝負したい。
 そして、50歳までには、コロッケの人情喜劇を確立させたいと思う。「奥ゆかしさ、引きの美学」を大事にしたい。
 さらに、「80歳で淡谷のり子がきちんと出来て、僕の芸は完成する」と予想を立てている。「たいした、たまげたー」と淡谷さんが言ってくれることは、まちがいない。

■村上信夫プロフィール
NHKチーフアナウンサー
1953年、京都生まれ。
明治学院大学卒業後、
1977年、NHKに入局。
富山、山口、名古屋、東京、大阪に勤務。
現在は、「今日も元気で!わくわくラジオ」(ラジオ第一8:35〜)、
「BS将棋中継」などを担当。
これまで、「おはよう日本」「ニュース7」「育児カレンダー」などを担当。
教育や育児に関する問題に関心を持ち続け、横浜市で父親たちの社会活動グループ
「おやじの腕まくり」を結成。
趣味は、将棋。
著書に「元気のでてくることばたち!」(近代文芸社)
「おやじの腕まくり」(JULA出版局)
「いのちの対話(共著)」(集英社)
「いのちとユーモア(共著)」(集英社)

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おなじの腕まくり「おやじの腕まくり」
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■イネ・セイミプロフィール
フルート奏者として活躍中。俳画家。
絵画を幼少より日展画家の(故)川村行雄氏に師事。俳画を華道彩生会家元(故)村松一平氏に師事。俳画の描法をもとに、少女、猫等を独自のやさしいタッチで描いている。個展多数。

* 俳画教室開講中
 ところ:常滑屋
 と き:月1回 第2金曜日 午後1時〜
 会 費:1回 2,500円(4ヶ月分前納制)
 問合せ:0563−32−0583

イネ・セイミ

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