海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
元気のでてくることばたち 村上信夫NHKアナウンサー

 5年前の9月11日。いまだに信じられないことが起きた。
 同時多発テロ。多くの人が不条理な出来事でいのちを奪われた。そのショックは、いまだに尾を引いているが、《9・11》をいつまでも心に留めながら、平和への祈りをこめる活動も起こっている。その一つが、テロの翌年から始まった《セプテンバーコンサート》だ。その日を、ニューヨークの街中、音楽で満たそうというイベントだ。
 その趣旨に賛同した一人の歌手が立ち上がり、日本でも去年9月11日、《セプテンバーコンサート》が全国各地で開かれた。東京の葛西臨海公園をメイン会場に、北は北海道・旭川から、南は四国・徳島まで、全国39ヶ所で、同時開催された。公民館やビルの屋上、商店の店先などを会場に、のべ270組およそ一万人が参加した。
 趣旨は究めてシンプルだ。《平等、自由、身近、無料》どんなジャンルの音楽でも、誰もが、どこでも、自由に参加出来る。音楽を通して、人と人がつながり、一緒に平和への思いを馳せる。今年は、9月10、11日の二日間に渡って開かれた。趣旨に賛同する人は確実に増え、運動は広がりを見せている。

 平坦ではない人生

 《セプテンバーコンサート》の呼びかけ人は、歌手の庄野真代さん。庄野さんといえば、『飛んでイスタンブール』。1978年、80万枚を超えるヒットとなった曲だ。それから 30年近くが経ち、庄野さんも五十代に入った。
 今となっては信じがたいが、庄野さんは、幼い頃、虚弱体質だった。入退院を繰り返し、命に関わる大きな手術をしたこともある。「病弱な少女時代を読書と考え事で過ごした」という。
 病気を克服した小学校5年生くらいから、パワー全開。学校の水泳大会で記録を作ったり、絵画展で入賞したり、初めて作詞作曲した歌が卒業文集にのったり…と、メキメキと活発な女の子になっていく。中学では、生徒会活動にのめりこみ、高校では、バンド活動にいそしむ。
 そして大学受験では第一志望に落ち、合格した大学の入学金を納めに行く途中、「納得いかない」と浪人を決意。バイトをしながら音楽活動を続けていたら、ヤマハのオーディションに合格した。歌をやった証拠に、人生の節目にと、フォーク音楽祭に応募したら、地方予選を勝ち抜いて、全国大会に出場。そんな紆余曲折を経て、レコードデビューしたのだった。
 紅白歌合戦出場も果たして、歌手活動絶好調のさなか、ふいに世界一周の旅に出てしまう。よく《思いつきの人》と言われる。何事も短い時間で決断するが、振り返るとすべて自然の流れになっている。「自分の環境を変えるのに、抵抗のない人間」だという。
 1年間で、28ヶ国132都市を歩いた。「かけがえのない地球を感じた旅」だった。 パリの地下街で、ストリートミュージシャンとして歌ったこともある。ニューヨークでは、なんとアマチュアのど自慢に出場した。まったくこだわらない人なのである。
 21歳で結婚、23歳でヒット歌手になり、26歳で長女出産、28歳で次女出産、33歳で離婚、44歳で子宮筋腫の手術、45歳で大学生に。決して平坦ではない人生を歩んできた。

 自称《カルチャーおばさん》。6歳でオルガン教室に通って以来、ものを習うのが好きなのだ。水泳、英会話、習字、バレエ、そろばん、ピアノ、電子オルガン、茶の湯、華道、日本語講師養成スクール、中型バイク免許、4級小型船舶免許、ジャズダンス、テニス…枚挙に暇がない。「やってみたいことをやらないと、一生やらないままで終わってしまう。半歩だけでも前に出てみたほうがいい」

 そして、ついこの前まで、現役の大学院生として、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科で学んでいたが、無事卒業した。『開発人類学』を専攻して、開発途上国にODAのような資金援助だけでなく、その地域の風俗や風習を究めた上で、開発に関わっていくための研究をしてきた。一区切りついたが、この先も、まだまだ勉学の志は衰えることがないだろう。

 音楽は世界をつなぐ

 世界一周旅行.習い事.大学.歌手活動.庄野さんの活動のすべては、つながっている。地球環境のことを考え続け、地球の平和を訴え続けることの必要性を、様々な体験を通して感じてきた。それを自分の軸足である音楽を通して広げていきたいと思っている。
 「歌手という幹をしっかり保ちながら、枝葉を伸ばし、花を咲かせ、音楽で人をつなぎ、人を支える活動を続けていきたい」「いろいろなチャレンジを続けていけば、自分も回りも変わっていくと思う」
 音楽で平和への思いを支える活動は広がりを見せている。今年3月には、NPO法人『国境なき楽団』を立ちあげた。セプテンバーコンサートのほかにも、施設や学校への訪問コンサート、チャリティーコンサート、世界の子どもたちに楽器を送る活動などを展開している。マニラの孤児院、マレーシアの障害児施設、ザンビアのエイズ孤児施設などに、日本で調達した中古楽器を届けている。時には、自らが、楽器配達に赴くこともある。
 庄野さんは「音楽は心のビタミン」だという。生きる力を与えてくれる。より良い社会実現の為の力を与えてくれる。
 「9月11日だけに限らない。家族の演奏会でも、カラオケでもいい。世界中が、いつもどこかで音楽が奏でられていることで、つながっていけばいい」

■村上信夫プロフィール
NHKチーフアナウンサー
1953年、京都生まれ。
明治学院大学卒業後、
1977年、NHKに入局。
富山、山口、名古屋、東京、大阪に勤務。
現在は、「今日も元気で!わくわくラジオ」(ラジオ第一8:35〜)、
「BS将棋中継」などを担当。
これまで、「おはよう日本」「ニュース7」「育児カレンダー」などを担当。
教育や育児に関する問題に関心を持ち続け、横浜市で父親たちの社会活動グループ
「おやじの腕まくり」を結成。
趣味は、将棋。
著書に「元気のでてくることばたち!」(近代文芸社)
「おやじの腕まくり」(JULA出版局)
「いのちの対話(共著)」(集英社)
「いのちとユーモア(共著)」(集英社)
「元気のでてくる"ことばたち"」
(近代文芸社)
1,500円(税別)
おなじの腕まくり「おやじの腕まくり」
(JULA出版局)
1,400円(税別)

■イネ・セイミプロフィール
フルート奏者として活躍中。俳画家。
絵画を幼少より日展画家の(故)川村行雄氏に師事。俳画を華道彩生会家元(故)村松一平氏に師事。俳画の描法をもとに、少女、猫等を独自のやさしいタッチで描いている。個展多数。

* 俳画教室開講中
 ところ:常滑屋
 と き:月1回 第4金曜日 午前10時15分〜
 会 費:1回 2,500円(4ヶ月分前納制)
 問合せ:0563−58−1639

イネ・セイミ

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 はちまん正人
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